華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)は、11.5型のディスプレイを搭載したタブレット「Huawei MatePad 11.5"」を日本市場に投入した。
プロセッサーに「Qualcomm Snapdragon 7 Gen 1」を搭載し、6GBのメモリー、128GBのストレージで、直販価格(以降、価格は全て税込)は4万3800円。同社のタブレットのラインアップの中では、ミドルレンジに位置づけられるモデルだ。1週間ほど試用したので、その使い勝手をレビューしたい。
MatePad 11.5"のサイズは、高さ約260mm×幅176mm×奥行き6.85mm、重さ約499g。その薄さも含めてB5のノートに近い大きさで、スリムながら剛性もあり、持ち歩くのにちょうどいいサイズ感だ。カラーは「スペースグレー」で、つや消しでサラッとした質感のアルミニウム合金を用いた、シンプルなデザイン。1300万画素のアウトカメラ、800万画素のフロントカメラとも、ディスプレイを横にして使用することが前提の配置になっている。
液晶ディスプレイのアスペクト比は3対2で、解像度は2200×1440ドット。ゲームやスクロールなど動きの速い操作でもちらつきが抑えられる、120Hzのリフレッシュレートをサポートしている。左右の側面に2つずつ、4つのスピーカーを備えていて、独自のサラウンド技術を採用するサウンドは、ボリュームをフルに上げなくてもなかなかの迫力。映画の視聴では臨場感のある音の広がりも感じられる。
バッテリーも薄型ながら7700mAhと余裕がある。フル充電で最大連続で10.5時間のビデオ再生が可能とのことだが、実際に外に持ち出して1日中動画を見たり、ゲームをしたり、ウェブを閲覧したりしても、夜にはまだ半分近く残っていた。動画やゲームをストレスなく楽しめるだけの、十分なスペックを備えていると言っていいだろう。
OSはAndroidベースの独自OS「HarmonyOS 3.1」。Google系のアプリは使えないが、メール、カレンダー、メモ、マップといったよく利用する基本機能は、ひととおり揃っているほか、Office互換アプリとして「WPS Office」も用意されている。
アプリストアは「Google Play」の代わりに「HUAWEI AppGallery」が利用可能。また、ここにないサードパーティー製のアプリが使いたい場合は、自分で探してインストールする必要がある。ホーム画面に専用の検索窓が用意されている「Petal検索」を使えば、アプリ探しは難しくない。ただし、AppGallery以外からのアプリのダウンロード&インストールは、基本的に自己責任となる点には留意したい。
Googleのサービスや、「X」(旧Twitter)や「Facebook」などのSNS、各種ECサイトなど多くのサービスは、ブラウザーからログインすれば、専用アプリがなくても利用できる。
また、AppGalleryには、アプリをインストールせずに使える「QuickApp」という機能もあり、この機能を使えば各サービスにアクセスするためのリンクを、アプリと同じようにホーム画面に登録できる。実際に「Gmail」や「Googleカレンダー」「YouTube」を、この方法で使ってみた。専用アプリとは若干使い勝手が異なるところもあるものの、筆者は普段、PCではブラウザーからこれらのサービスを利用していることもあり、特に使いづらいと感じることはなかった。
「HarmonyOS」には、直感的に使える独自の便利機能も備わっている。画面を分割して2つのアプリを同時に使える「マルチウィンドウ」や、開いているアプリの上に別のアプリを小さなサブ画面として表示できる「フローティングウィンドウ」など、タブレットの大画面を活かすマルチタスク機能もそのひとつだ。
写真から画像をメールに添付するなど、アプリ間でドラッグ&ドロップが簡単にできて便利だが、これだけなら、ほかのタブレットでもよく見かける。筆者が特に気に入ったのは、ブラウザーなどからテキストや画像をドラッグ&ドロップで一時保存し、それをメモやメールに活用できる「SuperHub」という機能。いちいち画面を切り替えてコピー&ペーストする手間が省け、情報の収集や整理が捗りそうだ。
MatePad 11.5"には、別売のアクセサリーも用意されている。「HUAWEI M-Pencil(第2世代)」(1万3200円)を使用すれば手書きメモのほか、4096段階の筆圧検知機能を活かしたスケッチなども可能。また、検索窓などに直接手書きから文字入力ができる「FreeScript」という機能もある。ペンを使用中に調べたいことが発生したとき、その都度キーボード操作に切り替える手間がなく、直感的に使える便利機能だ。
さらに、専用の「HUAWEI Smart Keyboard」(8800円)と組み合わせれば、着脱式の物理キーボードをノートPCのように使用できる。底辺のマグネットを通じてタブレットから電源が供給されるので、いざ使おうと思ったらキーボードの充電が切れていた…なんてことがないのがメリット。
画面にQWERTYキーボードを表示すると、半分くらいがキーボードで覆われることになるので、長文入力をする人はもちろん、画面を広く使いたい人やビデオ会議のスタンド代わりにも役立ちそうだ。
なお、ビデオ会議といえば、このタブレットのフロントカメラには、ビデオ会議時に自分の顔を自動追随して最適にフレーミングしてくれる、「FollowCam」という機能も備わっている。ただしこの機能を利用できるアプリは限定的なようで、筆者が試した限りでは「Microsoft Teams」と「Skype」では使えたが、「Zoom」では機能しなかった。
MatePad 11.5"は、充実の基本性能と豊富なアクセサリーで、多用途に使えるポテンシャルを持ったタブレットだが、HarmonyOSゆえのクセや制約もある。その意味では、基本機能のほかは動画視聴がメインというライトユーザーか、自分でアプリを探してインストールできる上級者向けと言えそうだ。
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