華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)の「HUAWEI WATCH GT Cyber」は、「スマートムーブメント」と呼ばれる本体部分がケースと完全に分離する、かなりユニークな特徴を持ったスマートウォッチだ。TPOにあわせて文字盤のデザインを変更できるのは、アナログの腕時計にはないスマートウォッチならではのメリットだし、バンドを交換できるウォッチもたくさんあるが、ケースをまるごと変えられるものは珍しい。
取り外し方も、正面からガラス面を押し込むだけと実にシンプル。一方の取り付けもリュウズの位置を合わせて、カチッとはまるまで押し込むだけだ。バンドを着け外しするよりも素早く簡単に、ほんの一瞬でケースを着せ替えできるのは、今までのスマートウォッチになかった体験と言える。
価格は基本となる「ミッドナイトブラック」のケースとスマートムーブメントのセットが3万2780円(税込)。交換可能なケースは4種類用意されていて、ミッドナイトブラックの色違いとなる「スペースグレー」ケースは5280円、ナノセラミックベゼルにステンレススチールを使用した「ムーンホワイト」と色違いの「シーブルー」、デザインの異なる「ゴールデンブラック」の各ケースは8580円で買い足せる。いずれも堅牢性が高く、スマートムーブメントをしっかり守るような、かなり頑丈なフレームが採用されている。
一方、堅牢性の保証はないが、非公認のサードパーティー製ケースも、すでに国内の通販サイトでいくつか見つけることができる。ファーウェイ製のオリジナルケースはいずれもバンド交換ができない一体型の仕様だが、サードパーティー製のケースには汎用のバンドを使用できるものも多い。海外の通販サイトでは腕時計型のケースだけでなく、キーホルダー状のものなども販売されている。今後さらに選択肢が増えてくれば、着せ替えの楽しさが広がるだろう。
カスタム性でいえば、ファーウェイのスマートウォッチは文字盤のデザインがとにかく充実していることも特徴のひとつだ。専用のマーケットが用意されていて、無料のほか有料の文字盤も数多く入手できる。
GT Cyberでは加えて、設定で「テーマ」を切り替えることで、文字盤だけでなくアプリアイコンのデザインもガラっと変更できる。また、文字盤の中には、洋服などの色にあわせてデザインの色やパターンをカスタムできるものも用意されている。ケースの着せ替えだけでなく、文字盤やその柄のパターンや色、アイコンと、中身もいろいろとカスタムが楽しめるというわけだ。
着せ替えやカスタムといったファッション性に加えて、スマートウォッチとしての基本機能も充実している。本体には1.32インチ(466ピクセル×466ピクセル、352ppi)の有機ELディスプレイを採用し、加速度、ジャイロ、磁気、光学式心拍、気圧の各センサーのほか、GPSは5種の衛星測位システムに対応。「HUAWEI WATCH GT 3 Pro」シリーズで採用されている皮膚温度センサーはないが、血中酸素濃度を測れる機能も備わっている。
ファーウェイの他のモデルには、物理ボタンが2つ用意されているものが多いが、GT Cyberの物理ボタンはクラウンが1つだけ。押して決定、回してスクロールというシンプルな操作なので迷うことはないが、他モデルのようにワンボタンでワークアウトを呼び出せる仕様にはなっていない。
ウォーキング、ランニングから、ウインタースポーツやウォータースポーツまで、選択できるワークアウトが100種類以上と豊富なのは、他モデルと同様。このうちウォーキング、ランニング、エリブティカル、ローイングは自動検出が可能で、たとえば一定時間走ると自動的にランニングだと認識される。
ワークアウトや日常的な活動の記録のほか、座りっぱなしで一定時間が経過すると、立ち上がるように促してくれる機能などもある。ほかにも心拍データをもとにしたストレスチェック機能や、睡眠記録の機能などが充実。特に睡眠記録は長さや深さだけでなく、熟睡期間や目が覚めた回数、呼吸の質など、かなり細かなデータを点数や%といった数字で確認できる。
スマートフォンとの連携では、各種通知が受け取れるほか、Androidではスマートフォン内の音楽をGT Cyberに保存して、ダイレクトに再生できる。Bluetoothヘッドフォンをつなげば、ウォッチひとつで音楽を聞きながらウォーキングやランニングが楽しめる。
バッテリー持ちはメーカー公称で通常使用で約7日間。実際に使用した感想もだいたい同じで、1週間弱は充電せずに使い続けることができた。毎日充電しなければならないスマートウォッチに比べれば、ずいぶんラク。充電は付属のマグネット式クレードルで行う仕様で、端子等はなし。50m耐水にも対応している。
筆者が試した限り、テーマ設定の有無や画面サイズなどの違いはあるが、機能面では「HUAWEI WATCH GT 3 SE」と大きく変わらない。GT Cyberのアドバンテージは、やはりケースの着せ替えにあると言える。ギミックは面白いが個人的に少し残念に思ったのは、着せ替えできるオリジナルのケースがいずれもスポーティーなデザインで、印象が大きく変わらない点。せっかくならレザーバンドなどのバリエーションも用意して欲しかった。
スマートウォッチで健康管理をしたいが、仕事などの理由によってそもそも腕時計が着けられないという人もいる。もしスマートムーブメント用のアームバンドやアンクルバンドがあれば、そうした人たちのニーズにも応えられるのではないか。せっかくの分離型がもっといかせるような、アクセサリーの登場に期待したい。
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