パナソニックホールディングスは8月31日、ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池のプロトタイプを開発し、神奈川県藤沢市のFujisawa サスティナブルスマートタウン(Fujisawa SST)内に新設されたモデルハウス「Future Co-Creation FINECOURT III」において、2024年11月29日までを予定とする1年以上の長期実証実験を開始したと発表した。
同社が開発したガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池は、ガラス基板上に発電層を直接形成する「発電するガラス」。発電効率は、従来の結晶シリコン系の太陽電池と同等であるとしている。独自のインクジェット塗布製法とレーザー加工技術を組みあわせることで、サイズ、透過度、デザインなどの自由度を高め、カスタマイズにも対応し、バルコニーやショーウィンドウなどさまざまな建築物への利用を目指す。
「カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、さらなる再生可能エネルギーの創出手段として太陽電池の普及が求められている。しかし日本は平地面積が少なく、建物の屋上も設置面積が限られる。このような状況では、建物の窓や壁面などを利用した発電が不可欠。当社のガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池で、この問題の解決を目指したい」と、パナソニックホールディングスでテクノロジー本部マテリアル応用センター1部部長を務める金子幸広氏は話す。また、災害時などの電力供給システムの強靱(きょうじん)化にも貢献できると考えているという。
実証実験が開始されるFujisawa SSTは、神奈川県藤沢市のパナソニック工場の跡地に開発した、住宅を中心とした郊外型スマートタウン。行政と18団体からなる街づくり協議会が推進するプロジェクトで、街に関わる住人、企業、自治体、大学などが共創する仕組みを導入し、新しいサービスの創出を通じて、社会や地域の課題解決を目指す。Future Co-Creation FINECOURT IIIは三井不動産レジデンシャルとFujisawa SST協議会が新設したモデルハウスで、9月1日より見学できる。
パナソニックホールディングスはペロブスカイト太陽電池を、再生可能エネルギーの創出と都市景観の調和を両立するとともに、CO2削減へのインパクトとして貢献することを期待しているという。金子氏は、「実証実験を通して、発電性能、耐久性などの確認などを行いながら、事業化に向けて技術開発を加速させていく」と述べた。
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