フランケンシュタイン博士が筆者のスマートホームを見たら、誇りに思うだろう。マッドサイエンティストだった博士と同じように、筆者もあちこちから集めた部品を使って、この驚くほど有能な(扱いにくいこともあるが)創造物を自分で作ったからだ。
筆者のスマートホームには、多数の照明機器のほか、スマートサーモスタットとスマートテレビ(サムスン製とRoku製が1台ずつ)用のコネクターもある。
このプロジェクトに着手したときは具体的な計画があったわけではなく、行き当たりばったりですべてを作り上げてきた。そしてその過程で筆者はいくつかの教訓を学んだので、ここで紹介したい。
従来の照明器具では、その環境に合った雰囲気を演出するのはほぼ不可能だ。電球が1つだけの、ワット数も固定されているランプの場合、明るさは1つしかない。明るさを3段階に切り替えられる電球と調光器を使用すれば、もう少し細かく調整できるようになるが、それでも、ちょうどよい明るさにするのは難しい。
そこで力を発揮するのがスマート照明だ。スマート電球を今ある照明機器に取り付ければ、明るさだけでなく、(電球が対応している場合は)色や温かみもかなり細かく調整できる。スマート電球が合わない機器の場合は、Wi-FiやBluetoothでネットワークに接続できるスマートスイッチを使用することで、同じ機能を利用できる。
わが家のスマート照明機器は実に多種多様で、「Philips Hue」シリーズの電球が12個、Philips Hueのライトリボンが2つ、KasaとLutronのスマートWi-Fiスイッチ、メインのバスルームにカスタム照明付きミラーが1つ、筆者の仕事場の隅に置かれた奇抜なGoveeのランプが1つ、といったラインアップになっている。
メーカーも種類も異なるこの照明機器たちをセットアップして設定するには4種類のアプリが必要だったが、初期設定が完了してしまえば、「Google Home」アプリを使用したり、音声コマンドで「Googleアシスタント」に話しかけたりすることで、すべてを制御できるようになった。さらに、Google Homeの自動化機能の助けを借りて、食事、テレビ視聴、就寝に適したカスタム照明スキームも作成した。しかも、存在検知機能のおかげで、全員が外出したら消灯し、誰かが帰宅したら自動的に点灯してくれる。
簡単な音声コマンドやスマホアプリを使用するだけで、照明を消したり、明るさを細かく調節したりできるのは、本当に素晴らしい。だが、インターネット接続が切断されたら、どうなるだろう。そのような場合には、ローカルのWi-FiやBluetooth接続を通して動作する物理スイッチが不可欠だ。Googleアシスタント(あるいは「Alexa」や「Siri」)にはアクセスできないかもしれないが、電力がある限り、昔のように自分で立ち上がってスイッチを押すことはできる。
わが家のKasaとLutronのスマートスイッチは、Hueハブに接続された電球やライトリボンと同様、ネットワークがローカルのみの場合でも機能する。幸い、筆者が住んでいる地域でインターネット障害が発生することはめったにないが、ネットワークにアクセスできなくなった場合に備えて、照明の代替計画は立てておいた方がいいだろう。
現在の自宅を購入するための書類に署名した後、筆者は玄関のドアの電子ロックをスマートフォンのアプリで開けられるスマートロックに交換することを少し検討した。そして、「なぜそうしたいのか」と自らに問いかけてみた。
その質問に対するよい答えは見つからなかった。そのため、玄関のドアには、スマートロックではないKwiksetのロックが今も取り付けられている。ドアを開けるときは、鍵を使用するか、自分で設定した3つの暗証番号のいずれかを入力する(暗証番号は、漏えいしたと思ったら簡単に変更できる)。解錠後、30秒が経過すると自動的にロックされるので、夜中に鍵を閉め忘れたのではないかと不安になって確認しに行く必要はない。電池の交換と「任意の訪問者」用暗証番号の変更を毎年行っているが、正直に言って、さほど高度ではないこのテクノロジーを、アプリで制御するものに置き換えるべき理由は見当たらない。スマートセキュリティに関して、筆者が近い将来に導入する可能性が高い製品は、カメラ付きスマートドアベルだ。
筆者がもしカスタム住宅を一から建てるとしたら、最新のプロトコルに対応したスマートハブ1つですべてを制御できるように設計するだろう。
わが家を担当した電気技師は、自分が作ったLutronのシステムを大げさに勧めてきたが、その環境を私たちのアパートで再現したとしたら、何千ドルものコストがかかっただろう。また、その場合でも、Philips Hueの電球をシステムに組み込んで、テーブルランプで使用できるようにする必要があったはずだ。筆者はサムスンの「SmartThings」も検討したが、その時点では、すでに購入していた家電に対応していなかった。
新しい業界規格の「Matter」も非常に便利そうで、スマートホーム業界の有力企業各社(AppleやGoogle、Amazonを含む)によってサポートされているが、現在はこの規格に対応したデバイスがようやく出始めた段階にある。
数年後には、既存のインフラを、Matterに対応したシステム(米ZDNETが総合的に最も優れたスマートホームデバイスに選出したサムスンの新しい「SmartThings Station」が有望そうだ)に移行できるようになるだろう。だが、今のところ、筆者は静観するつもりだ。
「スマートホームへようこそ。Apple、Google、Amazonのどのメーカーをご利用になりますか」
新しい入居者を歓迎するパンフレットには、そのような文が記載されているべきだ。Appleの「HomeKit」デバイスやAmazonのAlexa対応ハードウェアにすでに多額の投資をしている人の場合、選ぶべき道はすでに決まっている。筆者にとって、その選択は容易だった。わが家は各部屋に「Google Nest Hub」があり、すべてのスマートホームアプリが連携できる。
スマートホームテクノロジーの導入には、依然としてかなりの量の調整と手動でのセットアップが必要だが、その段階を乗り越えれば、比較的使いやすく、拡張も容易だ。もしかしたら、あくまで可能性の話だが、Matterのような新しい規格が普及すれば、マッドサイエンティストでなくても、さまざまな機器をうまく連携させられるようになるかもしれない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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