6月に開催されたAppleの年次開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)」が、近年で最も意欲的な内容だったことは間違いなさそうだ。Apple初の複合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」(3499ドル、約50万円)は発表されるやいなや話題をさらった。
しかし、ほとんどの消費者が現実的な意味で注目しているのは秋のイベントだろう。秋にAppleが発表するのは「iPhone」や「Apple Watch」の最新モデルなど、一般のユーザーが実際に購入し、使う可能性の高いガジェットだ。
そこで9月に開催されるとみられるイベントの基調講演で正式発表される可能性が高い主なApple製品と、搭載が期待される最新機能や現行モデルとの違いをまとめた。
言うまでもなく、9月に発表される可能性のある新製品のうち、最も注目度が高いのは「iPhone 15」シリーズだ。Appleは2022年と同様に4種類のモデルを投入するとみられている。すなわち、標準モデルの「iPhone 15」、その大型モデルの「iPhone 15 Plus」、Proモデルの「iPhone 15 Pro」、その大型モデルの「iPhone 15 Pro Max」だ。
「Max」が「Ultra」に改名される可能性もある。Apple Watchに「Ultra」モデルが追加されたことを考えると、特にそうだ。iPhoneの側面にある「着信/サイレント」スイッチが廃止され、アクションボタンが導入されるのではないかといううわさもある。
Bloombergの記事や業界アナリストらの最新の情報によると、iPhone 15の標準モデル(非Proモデル)にも、2022年にProモデル向けに登場した、動作中のソフトウェアやアプリに合わせて形を変えるピル型のノッチデザイン「Dynamic Island」が導入される可能性がある。
実現すれば、Proモデルだけでなく、iPhoneのすべての上位モデルにDynamic Islandが標準搭載されることになる。「標準」といえば、欧州連合(EU)が2024年までにUSB-C充電規格を採用することを電子機器メーカーに義務付けたことを受けて、9月に発表されるとみられる新型iPhoneでは、ついに全モデルがUSB-C経由の充電とデータ転送に対応する見込みだ。Appleにとっては、独自規格から一般的な充電規格に切り替える最新の主力製品となる。
iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxでは、少なくとも外観上の最大の変化はベゼル幅が狭くなることだと考えられている。これは「low-injection pressure over-molding(LIPO)」という技術をディスプレイに採用することなどで実現するという。BloombergのMark Gurman記者によれば、この技術はすでに「Apple Watch Series 7」に採用され、エッジのスリム化とディスプレイの大型化に貢献している。この技術が、新しいiPhone Proモデルにも採用される可能性がある。
素材がステンレススチールからチタンに変更されるといううわさもある。実現すれば、iPhoneの手触りが大きく変わるはずだ。価格も上がるかもしれない。確かなことは9月のイベントで分かるだろう。
Apple Watchの新モデルに劇的な変化を期待しているなら、期待値は下げた方がいいかもしれない。BloombergのGurman記者やSNS「Weibo(微博)」のリーカー、Instant Digitalなど、複数の情報筋が伝えたところによれば、新しい「Apple Watch Series 9」はApple Watch Series 8から進化はしているものの、小幅な変化に留まるとみられている。
これは意外ではない。最近のAppleは、Apple Watch向けのOS「watchOS」の体験を洗練させることに注力している。次の「watchOS 10」の目玉は、再設計されたアプリ、必要なウィジェットをすばやく表示する新機能「スマートスタック」、新たな操作方法だ。
9月の基調講演では、Apple Watch Series 9に搭載される新「S9」チップが大きな話題となる可能性が高い。Gurman記者によれば、このチップは「iPhone 13」に搭載されているApple製プロセッサー「A15」を発展させ、性能と効率を高めたものだ。基調講演では、アプリの読み込み速度とバッテリー駆動時間を軸に、新型と旧型の比較デモが行われるとみられている。
2022年9月のイベントでは、Apple Watch Series 8の発表と同時に、衝突事故検出などの重要機能が数多く発表されたが、Apple Watch Series 9では、フィットネスや健康管理など、より日常に寄り添った機能に重点が置かれる可能性が高い。
「Apple Watch Ultra」は、2022年に登場したApple製品の中でも、際だって革新的な製品だった。頑丈なボディと多彩な機能は、冒険を愛するApple Watchユーザーの心をつかんだ。
あれから1年。Appleは新しい熱烈なファン層のための続編を用意しているかもしれないが、新機能に関する詳しい情報はほとんど出ていない。
Apple Watch Ultraに改善の余地がないわけではない。この1年間、スマートウォッチに詳しい米ZDNETの記者たちは、Apple Watch Ultra をGarminやサムスンの競合製品と比較し、いくつかの重要な点でAppleは後れを取っていることを突き止めた。
そのひとつは、ハイカーや探検家にとって重要な地形図を搭載していないことだ。しかし、この点はwatchOS 10の登場によってカバーされる可能性がある。フラッシュライトの内蔵や太陽光充電への対応も、今後期待したいアップグレードだ。
9月に発表される新製品のリストに新型「AirPods」が加わる可能性は十分にあるが、その中身は期待されているものではないかもしれない。
というのも、次期AirPodsの最大の変更点は、標準モデルであれProモデルであれ、USB-C充電規格への対応となる可能性があるからだ。
AirPodsはこれまでLightning経由の充電にしか対応していなかったが、新型iPhoneに合わせてUSB-C規格に移行した場合、iPhoneとAirPodsを1種類のケーブルでシームレスに接続できるとAppleが宣伝することは想像に難くない。
重要なのは、変更点が充電ケースのアップグレードであって、イヤホン自体ではないことだ。つまり、新製品の発表ではなく、新アクセサリーの発表で終わる可能性がある。
AirPodsに関しては、機能面のアップグレードは小幅なものになると予想される。それでも2022年モデルを見送った人にとっては、有望な選択肢となるはずだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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