「Galaxy Z Flip5」などサムスンが発表した新製品まとめ

　サムスンの「Galaxy Unpacked」の季節がやってきた。それは、この夏を通して発売される新製品を楽しもう、という合図だ。7月26日に開催された同イベントでは、折りたたみスマートフォン、さまざまなサイズのタブレット、スマートウォッチなど、7種類の新しいハードウェアが発表された。いずれの製品も一部の市場で同日から予約受け付けが開始され、8月11日に発売される。

提供：June Wan/ZDNET

「Galaxy Z Flip5」

　サムスンの「Galaxy Z Fold」と「Galaxy Z Flip」シリーズは、今年で5周年を迎える。したがって、サムスンが、その高い価格に見合う洗練された折りたたみスマホを提供して、従来のフラットなスマートフォンから切り替えるに値する理由を消費者に与えるかどうかに、誰もが注目していた。

提供：June Wan/ZDNET

　Z Flip5に関しては、サムスンはそれをやってのけたようだ。2023年モデルの最大の変更点は、カバーディスプレイが大きくなって3.4インチになったことだ。同社はこれを「フレックスウィンドウ」と呼んでいる。

　サムスンは、このカバー画面のユーザーインターフェースを、「Galaxy Watch」を使用する場合と比較している。この画面では、アプリやウィジェット、ページをスワイプするジェスチャーナビゲーションが増え、ウォレットやダイヤルパッドに簡単にアクセスできる。

　すべてのアプリがこの3.4インチ画面向けに最適化されているわけではないが、サムスンの「Good Lock」拡張アプリを使用して、各種サービスを強制的に起動できる。これによってGalaxy Z Flip5は、Motorolaの「razr+」と同等の機能を備えることになる。

　Z Flip5に対する2つ目の顕著なアップグレードは、Qualcommの「Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy」だ。2023年に入って発売された「Galaxy S23 Ultra」で確認された性能から考えて、このチップセットによって、スマートフォンの全般的な性能、バッテリー効率、低光量時の撮影機能が向上するはずである。

　これは非常に重要なことだ。Z Flip5の実際のバッテリーサイズ、充電速度、カメラレイアウトは、2022年の「Galaxy Z Flip4」と同じであるため、今回の改良点は、他ならぬバックエンド処理に基づいている。

　Galaxy Z Flip5は、999.99ドル（約14万円）から販売され、最小ストレージ容量は（128GBから）256GBに引き上げられている。

「Galaxy Z Fold5」

　2023年のGalaxy Z Fold5は、全般的なデザイン、ディスプレイ輝度、処理性能、マルチタスク機能が改善されている。Z Flip5と同様に、カメラハードウェア、バッテリー容量、価格は前機種と同じだ。

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　まずは新しいデザインについてだが、折りたたんだ時の隙間がなくなり、ヒンジの可動部品が少なくなったことで、小型化と軽量化が実現されている。重量は10g軽くなり、頻繁にスマートフォンを持ち歩いたり、片手で持ったりする場合には、その重量の差は大きい。

　ただし、実際のフォームファクターとアスペクト比は変わっていない。同社は、洗練されたフィット感と片手での使いやすさを考えて、縦長の形状を選択している。それは、タブレットになるスマートフォンである「Pixel Fold」に対してGoogleが、幅広の形状を選択しているのと対照的だ。

　また、外側の6.2インチディスプレイと内側の7.6インチディスプレイの両方の輝度が高くなっており、前機種の約1200ニトから今回は1750ニトになっている。これにより、非常に明るい屋外環境でこの折りたたみスマホを使用する場合に、画面が見やすくなるはずだ。

　Galaxy Z Flip5と同様に、Z Fold5にもSnapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxyチップセットが搭載されている。このチップセットが、より大きな折りたたみ式フォームファクターと、それに伴うマルチタスク機能に対してどれだけの性能を示すかは、これから確認する必要がある。

　マルチタスクといえば、Z Fold5には「One UI」の最新版が搭載されており、マルチアプリウィンドウを起動するための手段が増えたほか、直近で使用した最大4つのアプリを「タスクバー」に保持できるようになっている。

　Galaxy Z Fold5は1799.99ドル（約25万2000円）から。価格は過去2世代と同じだが、サムスンを擁護させてもらうと、2023年のモデルは内部機能が向上している。

「Galaxy Watch6」「Galaxy Watch6 Classic」

　サムスンは今回の「Unpacked」で「Galaxy Watch」シリーズの新モデルとして「Galaxy Watch6」「Galaxy Watch6 Classic」の2機種を発表した。2023年版モデルでは「Pro」バージョンの新製品は発表されず、同社では今後も、冒険好きな人や比較的厳しい環境で使うユーザー向けには引き続き「Watch5 Pro」を販売する。

提供：June Wan/ZDNET

　より幅広いユーザー向けに発表されたWatch6は40mmと44mmの2サイズがあり、いずれもバッテリーが大型化している。デザインについては、どちらのサイズも、ディスプレイが20％大きくなり、ウィジェットや通知、トラッキング機能の操作スペースが増している。

　ウェアラブルデバイスの最新モデルであるWatch6は、（「Wear OS」がベースの）「One UI 5 Watch」を搭載して睡眠、フィットネス、安全関連の機能向上を図っているだけに、画面の大型化は重要なポイントだ。これらの機能には、睡眠のコーチングや心拍ゾーンのパーソナライズ、緊急サービスを呼び出すSOS機能などがある。

　一方、Watch6 Classicは43mmと47mmの2サイズで、47mmバージョンは、Galaxyシリーズのウェアラブルデバイスの中で過去最大のモデルとなる。どちらのバージョンも、ディスプレイを取り囲む回転式のベゼルを備え、画面をタップすることなく操作ができる。タッチ入力が難しい環境で使うには理想的な機能だ。

　価格は、Watch6が299.99ドル（約4万2000円）から、上位モデルのWatch6 Classicが399.99ドル（約5万6000円）から。

「Galaxy Tab S9」シリーズ

　2022年に発表された「Galaxy Tab S8」シリーズは、サムスンにとって文字通り「大きな」飛躍だった。この時発表された3機種の中でも最上位モデルの14.6インチの「Tab S8 Ultra」は、高スペックで、画面が非常に大きく、ノートPCの代わりを十分務められるデバイスだった。

提供：June Wan/ZDNET

　サムスンによると、新モデルのGalaxy Tab S9では全体的に機能向上が図られているという。具体的にはQualcommの「Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy」を採用したプロセッサー、「ビジョンブースター」に対応し、画質が向上したDynamic AMOLEDディスプレイ、サイズが20％大きくなったスピーカーなどが改善のポイントとして挙げられている。

　Dynamic AMOLEDディスプレイへの移行の恩恵が最も大きいのは、最小の11インチモデルだ。米ZDNETのテストでも、旧モデルは機能が劣るLTPS TFTを採用しており、大型モデルと比べても画質が見劣りしていたからだ。

　Tab S9シリーズは、サムスン製のタブレット端末としては「Galaxy Tab Active」シリーズ以外で初めてIP68等級の防水・防塵性能を備えるタブレットでもある。また、最長で4年間のOSアップデートと5年間のセキュリティパッチ提供が保障されており、この点では「Galaxy」スマートフォンのフラッグシップモデルと同じ基準が適用されている。

　3モデルすべてに、アーティストやグラフィックデザイナー、ライターにとって貴重な「Sペン」が同梱されている。Tab S9と同じくIP68等級の仕様で、筆圧感知機能が向上し、レイテンシーは2.8ミリ秒となっている。

　Galaxy Tab S9シリーズは、799.99ドル（約11万2000円）から。サムスンは、5G通信機能を搭載した「Galaxy Tab S9 Plus」も1149.99ドル（約16万円）で提供する予定だ。