「Jリーグ」を運営する日本プロサッカーリーグは7月31日、NTTグループ、明治安田生命保険、丸紅新電力と「Jリーグ気候アクションパートナー」契約を締結したと発表した。
「2023シーズン全公式戦カーボン・オフセット」をはじめ、JリーグがJリーグに所属する各クラブとともに実施する“気候アクション”の推進や、気候変動対策の興味・関心の喚起と増加、人々の日々の行動変容に寄与すべく、連携して取り組む。
2023年に生誕30周年を迎えるJリーグは、環境課題への積極的な取り組みを進めている。
例えば、2021年には環境省との連携協定を締結。2023年には、全公式戦において「カーボン・オフセット」を実施している。
なお、カーボン・オフセットとは、日常生活や経済活動において避けることができない二酸化炭素などの温室効果ガスの排出について、できるだけ排出量が減るよう努力しつつ、それでも排出されてしまう温室効果ガスの排出量に対してそれに見合った削減活動への投資などを実施し、排出される温室効果ガスを埋め合わせる、という考え方だ。
加えて、1月1日の組織変更では、従来から取り組む社会連携活動「シャレン!」を引き継ぐ「社会連携グループ」と、気候変動問題に特化して取り組む「気候アクショングループ」という2つのグループで構成する「サステナビリティ部」を新設。じぶん事としての気候アクションを推進し、各Jクラブのホームタウンをハブとした地域活性への貢献と、気候変動問題の解決を目指している。
日本プロサッカーリーグでチェアマン(代表)を務める野々村芳和氏は、「直近では7月16日、町田(ゼルビア)と(ブラウブリッツ)秋田の試合が、大雨の影響で中止になった。また、2013年からの5年間で中止になった試合は(年平均で)2.8試合だったが、直近の5年では11.6試合が大雨の影響で中止になっている。フットボールをする、安心してお客様を迎える、といった本来だったら当たり前のことが当たり前にできないという危機感を持っている」とし、気候変動問題に対してJリーグが貢献する必要性を語った。
JリーグのオフィシャルテクノロジーパートナーでもあるNTTグループとは、気候変動対策に関する人々の日々の行動変容を実現する協働プロジェクト「TH!NK THE BALL PROJECT」を開始する。
NTTグループのテクノロジーを活用し、ファンやサポーター、市民が気候アクションに参加しやすく、継続しやすいシステムを構築し、Jクラブと各地域に展開するという。
具体的には、NTTデータの市民参加型まちづくりアプリ「みんスマ」を活用し、環境配慮につながる行動をアプリに記録できるスマホアプリを提供する。
スタジアムで環境に良いスタジアムグルメを食べる、試合観戦後にごみ拾いをするといった環境配慮につながる行動を、応援するクラブの活動量として集計することで、クラブからお礼などがもらえるという。
まずは9~12月末にかけて、「ベガルタ仙台」「横浜F・マリノス」「ギラヴァンツ北九州」の3つのJクラブと、ファン・サポーター参加型のトライアルを実施する。2024年以降は各Jリーグクラブと展開する予定だ。
NTT 取締役執行役員 工藤晶子氏は、「全クラブに説明会を実施したところ、多くのJクラブから参加希望の声があったが、地域、所属カテゴリーの分散といった観点で考慮した」と、3クラブの選出理由を説明。また、将来的にはWeb3をはじめとする新テクノロジーの活用、その他スポーツへの展開などに取り組みたいとし、「Jリーグファンの1%を動かして仲間の輪を広げ、10万人以上のアクションにつなげたい」と語る。
日本プロサッカーリーグ 執行役員を務める辻井隆行氏も、「大勢の人が参加すればするほどいい仕組みになる。技術を含めて課題もあるが、ほかのスポーツやほかのさまざまなパートナーと連携して進化させていきたい」と続けた。
そのほか、Jリーグのタイトルパートナーでもある明治安田生命とは、「明治安田×Jリーグの森 ~未来をつむぐ森~」として、神奈川と山梨県の森林における取り組みを協働で実施する。
子ども向けの環境勉強会、自治体との意見交換、Jクラブ、ファン・サポーターを交えたイベントなどを実施し、各地域の住民が気候変動対策の必要性を知るきっかけとなることを目指す。
また、新パートナーとなる丸紅新電力は、非化石燃料で発電された電気が持つ「非化石価値」を取り出し、証書にして売買する「FIT非化石証書」を提供する。
2~6月に開催済みのJリーグの公式戦約600試合のうち、すでに再エネ・実質再エネ電力を調達済みのスタジアムにおける試合を除き、電力使用で発生した二酸化炭素量をオフセットするという。
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