自分で交換できるバッテリー搭載スマホが増える可能性--メリット、デメリットは? - (page 2)

Katie Collins (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2023年07月31日 07時30分

 施行が迫ってきたこれらの規制について、Appleとサムスンにコメントを求めたが、回答は得られていない。

 しかし、Appleや他のスマートフォンメーカーが、ある市場向けにユーザー交換が可能なバッテリーを搭載する製品の製造を余儀なくされた場合、それらのデバイスが他の市場でも販売される可能性があると考えるのは、理にかなっている。

スマートフォンの作りを再考

 このような規則に対応したデバイスを製造するうえで生じる課題、そして、そのメリットとデメリットを理解するため、筆者は、簡単に交換できるバッテリーを搭載したスマートフォンをすでに製造しているFairphoneに実情を尋ねた。

 Fairphoneの製品管理責任者で、創設者の1人でもあるMiquel Ballester氏にとって、携帯電話のバッテリーを交換できることは、決して目新しいことではない。ユーザーが自分で交換できないバッテリーは、スマートフォンの薄型化がますます進む中で、メーカー各社が選択してきたことだ、と同氏は指摘する。徐々にバッテリーは大容量化してきたが、バッテリーが経年劣化する基本的な仕組みは改善されていない。

 「それは事実であり、Nokiaのすべての機種が交換可能なバッテリーを搭載していた時代から変わっていない」(Ballester氏)

Fairphoneを分解した様子
Fairphoneはすでにユーザーが交換可能なバッテリーを搭載している
提供:Fairphone

 Fairphoneは単なるスマートフォンメーカーではない。電子機器業界に対して、より長持ちし、より修理しやすいデバイスを作るよう促すことを使命としている。同社が製造したスマートフォンはすべてモジュール式なので、誰でも分解して、元に戻すことが可能だ。簡単なはんだ付けを除けば、機械いじりの経験がほとんどない筆者のような人間でもできる。実際にやってみた。

 だが、Ballester氏がよく理解しているように、そのようなスマートフォンの製造には、さまざまな妥協が伴う。スマートフォンに接着剤で固定された完全一体型のバッテリーの場合、電源モジュールと他のコンポーネントの間の接続が非常に安定する。交換可能なバッテリーでは、それと同水準の安定性を実現することはできない。つまり、スマートフォンを落としたり、接続部にほこりが付着したりすると、接続が妨げられる可能性が高くなる。

 (取り外し可能なバッテリーを搭載したスマートフォンが姿を消し始めていた2016年に、LGはモジュール式スマートフォン「G5」を発売するという賭けに出た。米CNETのレビュアーは、G5の設計で最も魅力的なのは取り外し可能なバッテリーと評していた)

 モジュール式スマートフォンでは、ほこりや水が問題になることもある。米国で発売されたばかりの「Fairphone 4」は、同社のデバイスとして初めて防水等級を取得しているが、その等級はほとんどのトップエンドモデルよりも低いIP54だ(「iPhone 14」はIP68)。近頃では、人々がスマートフォンを買い替える理由は、本体が少し濡れてしまったことではなく、バッテリーやソフトウェア、画面の破損であることがほとんどなので、防水等級は大した問題ではない、とBallester氏は考えている。

 さらに、交換可能なバッテリーは、接着剤で固定されたバッテリーと同等の信頼性と頑丈さを実現するために、より大型の筐体に格納される。

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