Pixel FoldのプロセッサーはGoogleが独自開発した「Tensor G2」だ。Pixel 7シリーズにも同じものが搭載されており、滑らかなパフォーマンスを実現している。アプリの起動は速く、「PUBG MOBILE」や「Shadowgun Legends」といったゲームも快適にプレイできる。外部ディスプレイと内側ディスプレイの切り替えもほぼ一瞬だ。
Tensor G2の利点はパフォーマンスやスピードにとどまらない。このGoogle製プロセッサーを搭載したデバイスでは、いくつかの専用機能を使えるようになる。ぶれたり、ぼけたりした写真を自動補正する「ボケ補正」は、その1つだ。Pixel Foldでも、ボケ補正を含むTensor専用機能が利用できる。
Pixel Foldのバッテリーは、1日程度なら十分に持つ可能性が高い。しかし、頻繁に使うことが予想される日は充電器を用意していた方が安心だ。
約6時間使用した時点でのバッテリー残量は70%程度だった。常時表示ディスプレイと高リフレッシュレート設定はオン、明るさの自動調整はオフにした状態でのテスト結果だ。明るさは50%のまま、基本的には変えなかったが、屋外では画面を見やすくするために80%程度まで上げた。また、Spotifyで1時間半ほどストリーミングをして、数枚の写真と1本の短い動画を撮影したほか、SNSを見たり、メールやテキストメッセージをチェックしたりした。
バッテリー駆動時間は端末の使い方に大きく左右される。デバイスの設定や実行しているアプリの種類を具体的に書いたのは、そのためだ。タブレットサイズのインナーディスプレイを使うか、カバーディスプレイを使うかもバッテリー駆動時間に影響を与える。
米CNETのバッテリーテストでは、3時間にわたってYouTubeをストリーミング再生し、1時間ごとにバッテリー残量を確認した。テストはインナーディスプレイと外部ディスプレイの両方を使って行った。外部ディスプレイを利用した3時間のテストでは、Pixel Foldのバッテリー残量は83%まで低下し、インナーディスプレイを使った場合は69%まで低下した。
カバーディスプレイのテスト結果は、Galaxy S23シリーズの結果に匹敵するもので、Pixel 7と比べると、わずかに良かった。一方、インナーディスプレイを使ったテスト結果は、米CNETが過去にテストしたほとんどの機種を下回った(例外は、4Kディスプレイ搭載のソニー「Xperia 1 V」)。もっとも、この結果は意外ではない。Pixel Foldの外部ディスプレイは、現在市販されているスマートフォンの中では小さい部類に入るのに対して、インナーディスプレイはスマートフォンよりも、むしろタブレットに近い大きさがあるからだ。
しかし米CNETによるバッテリー耐久テストでは、Pixel Foldは良い結果を記録した。このテストでは、45分間にわたって動画のストリーミング再生、ソーシャルメディアの閲覧、短時間のビデオ通話、ゲームなどを行い、こうしたタスクがどの程度バッテリーを消耗するかを調べた。テスト後、Pixel Foldのバッテリーは100%から95%に低下していた。この結果は、米CNETが今年テストした他のスマートフォンの中では、「Galaxy S23+」や「Lenovo ThinkPhone by Motorola」の結果に近い。今回のテストでは、作業内容に合わせてインナーディスプレイとカバーディスプレイを臨機応変に切り替えながら使った。例えば、SNSを閲覧したり、Candy Crushで遊んだりする時は外部ディスプレイを使い、PUBG Mobileをプレイしたり、テーブルトップモードでYouTubeを視聴したり、ビデオ通話をしたりする時はインナーディスプレイを使った。
Pixel Foldは21Wの急速充電にも対応している。ただし、この速度を実現するには互換性のある電源アダプターが必要だ。Googleは30Wのアダプターの使用を推奨しているが、別途購入する必要がある。30分の充電で、バッテリーは0%から41%まで増えた。これは称賛に値する結果だが、折りたたみ式ではないスマートフォンの中には、もっと短時間で充電できるものもある。例えばLenovo ThinkPhone by Motorolaは68Wの急速充電に対応しており、同じ30分で0%から92%まで充電できた(しかも充電器は同梱だ)。Pixel Foldは7.5Wのワイヤレス充電にも対応している。ワイヤレス充電の場合、30分で26%から35%まで充電できた。
Googleは、初の折りたたみスマートフォンをしっかりと仕上げてきた。幅広のカバーディスプレイを採用したことで、一部の作業は格段に楽になった。例えば、スタンドや三脚を使わずに、ハンズフリーでビデオを視聴したり、写真を撮ったりできる。普通のスマートフォンよりも幅が狭いGalaxy Z Fold4と比べると、外部ディスプレイでアプリを使っても違和感はない。折りたためないタイプのPixel端末と同様に、デザインも洗練されている。特に、たたんだ時にヒンジ周りに隙間ができないことは大きなポイントだ。
しかし、Pixel Foldは「第1世代の製品」の域を出ていないように感じる。一部の人気アプリ、例えばInstagramや「Uber」などは、まだ全画面表示に最適化されていない。分割スクリーンモードでは、アプリをまたいでコンテンツをドラッグ&ドロップできるが、今回のテストでは失敗することもあり、安定しなかった。しかし、何と言ってもネックは価格だ。Pixel Foldは1799ドルもするため、購入を推奨しにくい。
筆者にとって、Pixel Foldは「Pixel Watch」を想起させる製品だ。昔からある製品カテゴリーを洗練させてはいるが、必ずしもその領域を進化させたわけではない。少なくとも、現時点ではまだだ。Googleはソフトウェアのアップデートを通じて、Pixelシリーズに新機能を追加してきた。同じことがPixel Foldでも起きると筆者は見る。Pixel Foldが真価を発揮する日は、もう少し先になるだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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