グラミー賞を運営するザ・レコーディングアカデミーは例年、音楽ジャンルの人気の移り変わりや新しい賞のカテゴリーといった要素を反映させるため、ガイドラインと賞のルールを見直す必要に迫られてきた。そして今年は、最先端の「アーティスト」に対応しなければならない。そのアーティストとは、人工知能(AI)だ。
生成AIの活用は多種多様な業界に広がってきた。音楽分野も例外ではなく、AIを使うだけで丸ごと一曲を作れるまでになった。
2023年4月に人気を博したAIによって生成されたDrakeとThe Weekndの「コラボ曲」が示すように、AIは本物そっくりに聞こえる楽曲を作ることができる。
ただし、ここには著作権の問題が絡んでくる。アーティストら(先の例ではThe WeekndとDrake)が、自らの声が新曲に再利用されることに明確に同意していない場合はなおさらだ。
一方で、アーティストが自身の音楽制作において、AIによる生成を容認する場合もある。例えば、ビートルズはAIの能力を利用して、同バンドによる最後のレコードに故John Lennonさんの歌声を蘇らせている。
では、これらの楽曲は、グラミー賞の基準とガイドラインに照らすと、どのような扱いになるのだろうか。
2024年開催予定の第66回グラミー賞の新ルールでは、「人間のクリエイターだけが、グラミー賞の選考にエントリーし、ノミネートされ、受賞する資格がある」と規定されている。
人間だけが楽曲の作り手として認められるとはいえ、生成AIを利用した音楽がすべて排除されるわけではない。
AIを利用した音楽やコンテンツが、グラミー賞にエントリーされ、検討される可能性はあるが、賞はその作品に貢献した人間にのみ与えられることになる。
人間が制作に関与せず、AIだけで生成された作品は、選考の対象にはならない。
さらに、作曲(ソングライティング)部門と演奏(パフォーマンス)部門では、作品の大部分が人間によって書かれたり演奏されたりしたものでなければ、やはり賞の選考対象にはならない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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