家庭ごみから液体肥料と再エネを作り出す--超小型バイオガスプラント使い環境学習

 ドルトン東京学園中等部・高等部、京都大学 農学研究科農業システム工学分野、東日本電信電話 東京武蔵野支店、ビオストックは6月5日、環境学習の一環として、メタン発酵技術を活用したエネルギー生産型資源循環の取り組みを開始すると発表した。生徒自ら再生可能エネルギーの創出、活用を体験する。

取り組みの概要
取り組みの概要

 今回の取り組みは、NTTe-CityLabo内の「超小型バイオガスプラント」を実際に見学、メタン発酵に関する理解を深めるというもの。超小型バイオガスプラントは、NTT東日本のグループ会社であるビオストックが提供。コンパクトサイズで可搬型なことに加え、少量の原料で運転ができるなど、食品工場や商業施設、社員食堂など幅広い場所で活用できることが特徴だ。

 環境学習では、京都大学 農学研究科農業システム工学分野助教の大土井克明氏の講義から始まり、超小型バイオガスプラントの見学、燃焼実験の3工程にて実施。燃焼実験では、生徒が持ち寄った家庭ごみを1カ月かけてメタン発酵、燃焼実験をし、有機由来の液体肥料(メタン発酵消化液)と再生可能エネルギーであるメタンガスを創出するという。

 同日開催された大土井氏による講義は、「資源循環と環境」をテーマに、ドルトン東京学園中等部の中学1年生、約100人に向け実施。大土井氏は「人々が狩猟、採集をしていた時代は、食べ物の心配をしないとならなかった。その不安を解消するために動物を飼育したり、作物を栽培したりと畜産や農業をするようになった」と、安定的な食料を確保するようになった背景を話した。

京都大学 農学研究科農業システム工学分野助教の大土井克明氏
京都大学 農学研究科農業システム工学分野助教の大土井克明氏

 さらに「食物を育てるための肥料として、排便などの有機廃棄物を利用していた。以前は有機物として畑にかえして循環できたが、化学肥料が登場したことで、うまく循環ができなくなり、それらを処理するための施設としてメタン発酵施設が登場した。メタン発酵することで、バイオガスとメタン発酵消化液ができ、バイオガスは熱に変えられる力を持つ。メタン発酵消化液は発酵残渣だが、栄養分があり、肥料として使えるが、現在は活用できていない状態。それをなんとかしたい」(大土井氏)と現在の課題について説明した。

 大土井氏は「八木バイオエコロジーセンター」や「真庭市実証プラント」など、国内のメタン発酵施設を複数紹介。「うまくいかず、なくなったものもあるが、実証実験の目処がたち、大きなプラントを建設中のものもある。個人的にはこれを『エネルギー消費型資源循環』と呼んでいて、資源を循環できる。これが本来のあり方」とあるべき姿を示した。

 今後については「現在では、肥料として使えるメタン発酵消化液をなかなか使ってくれないが、そこを変えていきたい。メタン発酵施設が持つ機能は、有機廃棄物の処理をして、有機物由来の液体肥料を製造し、再生可能エネルギーであるバイオガスの製造ができる。この部分をアピールしていきたい」とした。

「資源循環と環境」をテーマにした講義。生徒はドルトン東京学園中等部の中学1年生。写真は後半の部で約50人の生徒が参加した
「資源循環と環境」をテーマにした講義。生徒はドルトン東京学園中等部の中学1年生。写真は後半の部で約50人の生徒が参加した
授業の冒頭、大土井氏は「生きていくために必要なことを一人ずつあげて」と質問して上がってきた答え
授業の冒頭、大土井氏は「生きていくために必要なことを一人ずつあげて」と質問して上がってきた答え

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