米国時間6月5日にAppleの年次開発者会議「Worldwide Developers Conference」(WWDC)が開幕する。基調講演では、最高経営責任者(CEO)のTime Cook氏らが、iPhone向けOSの次期メジャーバージョンとなる「iOS 17」を発表するとみられている。
iOS 17では、さまざまな新機能が登場すると期待されているが、ロック画面に表示される情報の増加は、そのひとつだ。報道によれば、Amazonのスマートディスプレイ「Echo Show」のように、カレンダーの予定や天気、通知がiPhoneのロック画面に表示されるようになるという。実現すれば、ロック画面のカスタマイズ性が飛躍的に高まった「iOS 16」に続く進化となる。
また、iOS 17ではアプリのサイドローディングがついに「iPhone」でも実現するのではないかと言われている。サイドローディングとは、Appleの「App Store」を経由せずに、アプリをiPhoneにダウンロードできる機能だ。この機能の導入は、2024年に欧州で施行される新規制に対応するためだとみられている。
ちまたでは、こうしたうわさが注目を集めているが、筆者がiOS 17に期待している追加機能や改善点は他にもある。その内容は、「Apple Pencil」をiPhoneの「Pro Max」モデルや「Plus」モデルでも使えるようにするといった大きなものから、iPhoneを「Apple TV」の仮想リモコンとして使う時に、画面に音量ボタンを表示するといった控え目だが、あれば便利な改善まで多岐にわたる。iOS 17の全貌はWWDCが開幕するまで分からないが、個人的なウィッシュリストは次のとおりだ。
「画像を調べる」は、写真に写っている植物、食べ物、ランドマーク、ペットなどを識別できる機能だ。2021年リリースの「iOS 15」で初めて導入された後、「iOS 16」でさらに強化され、写真やPDF内のオブジェクトを長押しすると、背景からその部分だけを抜き出して共有できるようになった。
難点は、写真を撮った後でなければ機能しないことだ。iOS 17では、カメラのファインダーを向けている段階で画像を調べられるようにしてほしい。例えば、カメラアプリを起動して花に向けると、実際に写真を撮らなくても「画像を調べる」アイコンをタップするだけで、どのような花なのかを調べられるようになるとうれしい。同じことはすでに「テキスト認識表示」機能で実現されており、「Googleレンズ」や「Android」スマートフォンにも同様の機能がある。大きな変更ではないが、作業効率はアップするはずだ。
「Apple Watch」を使っている人なら、ワークアウトを記録できることがいかに便利か理解しているだろう。しかしApple Watchを着けていない時や、そもそもApple Watchを持っていない場合は、サードパーティー製アプリを入れていない限り、iPhoneではウォーキング、ランニング、サイクリングといった基本的なエクササイズでさえ記録できない。Appleのサブスクリプション型フィットネスサービス「Fitness+」に登録していなくてもワークアウトを記録できるように、「フィットネス」アプリを強化してほしい。
iPhoneのカメラアプリは、そろそろ見直しの時期に来ているのではないだろうか。iPhoneのカメラは長年、シンプルを体現するアプリとして親しまれ、写真や動画、エフェクトのプレビューを最小限の操作で簡単にプレビューできる機能やモードを提供してきた。しかし、特にiPhoneの「Pro」モデルでProRaw写真やProResビデオを撮影できるようになると、デフォルトのカメラアプリでは不足感が出てきた。Appleは、カメラアプリの汎用性を優先して、マニュアル設定のような上位機能を犠牲にしてきた感がある。
同社は3月にクラシック専用の音楽アプリを発表したが、カメラにも独立した上位版アプリを作ってほしい。「Apple Music Classical」は、デフォルトの「ミュージック」アプリにはできないレベルで、クラシック音楽の分類や検索、発見ができるように設計されている。同様に、本格カメラアプリでも、クリエイティブ志向のユーザーが通常のカメラアプリではできない細かいコントロールや設定、機能を利用できるようにしてほしい。すでにソニーの「Xperia 1」シリーズと「Xperia 5」シリーズは同様のアプローチを導入してかなりの成功を収めており、サムスンもメインのカメラアプリとは別に、「Expert RAW」アプリを用意している。
Dynamic Islandは便利だ。ユーザーがiPhoneで何をしていようと、常に画面上にショートカットを用意してくれるため、例えばロック画面をちらっと見るだけで、「Uber」で呼んだ車が今どこを走っているのか分かる。しかし、この機能にはまだまだ進化の余地があると思う。うわさどおり、もし次の「iPhone 15」ではPro以外のモデルにもDynamic Islandが搭載されるなら、新機能の追加を期待したい。選択式のカスタマイズ機能は、そのひとつだ。
Appleは2016年、「iOS 10」版の「iMessage」で利用できるステッカー(スタンプ)やゲームを購入できる専用アプリストアを立ち上げた。Dynamic Islandに専用のアプリストアはいらないかもしれないが、「ミー文字」のステッカーをDynamic Islandのアイコンとしてピン留めできる機能などがあればうれしい。欲しい機能を具体的に説明できないのだが、Dynamic IslandはiPhoneのパーソナライズを可能にすることで、ユーザーの所有感を高める方法のひとつになると思う。今年の「Google I/O」でも、AI技術やシネマティック壁紙の導入など、「カスタマイズ」はAndroidの大きなテーマとなっていた。もちろん、AppleはDynamic IslandをApple Watchの文字盤のように捉え、完全にユーザーの好きに任せるのではなく、選択できるバリエーションを用意するという形で、画面のデザインをコントロールすることもできる。
筆者は長年、iPhoneとiOSのウィッシュリストを書いているが、特にiPhoneのPro MaxモデルやPlusモデルのApple Pencil対応を熱望してきた。6.7インチの画面は、「iPad Mini」の8.3インチの画面と比べて、それほど小さいわけではない。しかし、iPad MiniはApple Pencilに対応しているのに、iPhoneは対応していない。
もしiOS 17がApple Pencilに対応するなら、通常版よりも小さい「Apple Pencil Mini」を作ってほしい。「MagSafe」を使って、iPhone Pro MaxやPlusの背面にくっつけられるようにしてもいいだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」