グーグル、「Google I/O」で発表した多数のAI関連機能で威信回復

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 編集部2023年05月16日 09時48分

 ここ数カ月は厳しい時期が続いたGoogleだが、魅力的な新しい人工知能(AI)ツールや機能を「Google I/O」で発表したことで、自社の威信を取り戻したようだ。

Sundar Pichai氏
Google I/OでAI関連の取り組みについて説明するSundar Pichai氏
提供:Stephen Shankland/CNET

 同社は、AIを支える技術の開発において多大な功績を誇れる立場にあるものの、守りの姿勢を貫いてきた。AIが、ホワイトカラーの仕事を脅かすほどの有用性と創造性を備えるようになったことを明らかにしたのは、OpenAIの「ChatGPT」や、同社のビジネスパートナーであるMicrosoftがそれと同じ基盤技術に基づいて提供する「Bing」のチャットボットだった。

 最悪の状態に陥ったのは、従業員が書いたものとされるメモが流出した時だ。メモは、AI分野の競争でGoogleに勝ち目はないと結論付け、同社のAIにはmoat(防壁)がないと嘆くものだった。moatとは、企業を競合他社から保護する特許や対策など、競争上の優位性を意味する。

 しかし、Googleは、AIの新興企業が同社の研究者らを引き抜くのをただ眺めているだけではなかった。

 Google I/Oでは、同社の製品チームがAIに真剣に取り組んできた様子がうかがえた。2時間に及ぶ基調講演の中で幹部らがAIという単語を143回も使用したのは、検索や「Gmail」「Googleフォト」「Googleドキュメント」「Google Cloud」など多数の製品でAIを活用する例が、数えきれないほど存在するためだった。

 Google I/OにおけるAI関連の大きな発表としては、以下のようなものがあった。

  • 同社は、「PaLM 2」という新しいAIモデルを開発した。PaLM 2は、同社の多くのAI製品の基盤となる大規模言語モデル(LLM)である。前世代の「PaLM」とは異なり、小型で軽量のバージョンは、スマートフォン上でも動作できる一方で、最も高度なバージョンは、データセンターに同社の高額なAIチップ「Tensor Processing Unit」(TPU)を大量に導入する必要があるほど大規模だ。PaLM 2は、100を超える言語でトレーニングされている。また、テキストだけでなく画像も処理するほか、より効率的に動作し、医療やコンピューターセキュリティなどの特定の専門分野向けにきめ細かくチューニングできる。
  • チャットボット「Bard」は、世界の多くの地域で英語版が一般公開され、ウェイトリストは廃止された。また、PaLM 2を使用することで、3月に限定公開されたときよりも能力が向上している。
  • 同社は、生成AIを検索に組み込み、テキストの段落に検索結果を再構成することによって、ユーザーが求める情報をより迅速に得られるようにしている。ショッピングのリンクや広告も含めており、これは、生成AIの実行で発生する多大なコストの緩和につながる可能性がある。
  • 現在、「Gemini」というPaLM 2の後継モデルをトレーニングしている。これは、マルチモーダルにより適切に対応し、記憶やプランニングといった領域のニューラルスキルを向上させるはずだと、最高経営責任者(CEO)のSundar Pichai氏は述べた。
  • Gmail、Googleドキュメント、「Googleスプレッドシート」「Googleスライド」「Google Meet」に生成AIが組み込まれ、職務説明の草案作成や、顧客を管理するためのスプレッドシートの表作成といった機能が発表されている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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