トレタは5月8日、飲食店向け店内モバイルオーダーの新たなバージョンとして「トレタO/X」(パブリック版)の提供を開始したと発表した。
同サービスは、先行β版として、2021年7月より外食産業を代表する企業数社向けに提供を開始。β版では、各業態ごとに最適化したオーダーメイドに近いデザイン設計・開発を行っていたが、新たに提供を開始するパブリック版では、多種多様な飲食店で幅広く利用できる汎用性を持ちながらも、低コストで1店舗から導入できるモバイルオーダーサービスとして展開するという。
なお、同サービスは、経済産業省が推進するIT導入補助金2023において、補助金対象ツールとして採択されている。
同社によると、コロナ禍や近年の物価上昇などによって、外食産業では省人化や生産性向上、利益率の改善といった課題が浮き彫りになり、多くの飲食店では収益構造のさらなる改善や、思い切った飲食店DXに取り組んでいるという。
しかし、「人によるおもてなし」を重視して発展してきた外食産業の価値観とデジタル化は矛盾するという懸念が根強く、現在でもDXが思うように進まないケースが少なくない。
業務効率化を目的としたモバイルオーダーサービスも続々と登場しているものの、効率化一辺倒で開発されたサービスでは、本来飲食店が培ってきた個性やこだわりを生かすことができないといった経営者からの懸念の声も聞かれるという。
そこで同社は、業務効率化に加え、アナログでの接客を超える体験を実現できる店内DXとして、トレタO/X(パブリック版)を開発した。
同サービスでは、来店客のスマートフォンを利用したオーダーを通じて、対面オーダーとは異なる「おもてなし」や「体験」を創造することを目指している。注文を体験にすることをコンセプトに開発したことにちなみ、Order Experience(注文体験)という言葉を冠して、トレタO/Xと命名した。
メニューは、単なる料理一覧ではなく「飲食店と来店客をつなぐメディア」だと捉え、従来のセルフオーダーシステムとはまったく異なるコンセプトで設計。写真だけでなく動画にも完全対応している。
また、画面のカラーパターンをはじめ、表示する料理画像のサイズや縦横比や角の丸みまで、きめ細かいカスタマイズが可能。各種のカスタマイズ機能を活用することで、現時点でも数百パターンの個性的なメニューデザインを実現できるという。
今後は、カスタマイズのバリエーション増加を予定。従来のセルフオーダーシステムでは実現が難しかった、店舗のブランドや個性を生かした、世界でひとつだけのメニュー作りが行えるという。
加えて、モバイルオーダーに慣れていない場合でも、直感的に使えるUI設計も特徴だという。
さらに、「料理」や「ドリンク」といったカテゴリーのトップに「おすすめ」ページを用意し、効果的にアピールできるように設計。
飲食店によって異なるメニューの構造にも対応できるように、通常メニューのほか、飲み放題、食べ放題やコースなどにも対応する。また、辛さ調整などの味付けや、追加トッピングなどのカスタマイズも可能。
なお、同サービスでは、注文から会計までのすべての体験が来店客のスマートフォンで完結できる。
通常のテーブル単位のオーダーに加え、ダイヤモンドダイニングと共同開発したDX業態「焼鳥IPPON」での知見を基に開発した「個別注文・個別会計」機能も搭載。同じテーブルであっても、個人単位でのオーダーを可能とし、会計も個人単位で支払えるようになった。
システムに標準装備されるPOSやハンディ機能により、スマートフォンでのオンライン決済だけでなく、現金支払いやQRコード決済などの対面決済にも対応。クーポンや割引などにも対応できるという。
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