飲食店向け予約/顧客台帳サービス「トレタ」を開発・販売するトレタは8月25日、ダイヤモンドダイニングとの共同開発によるDX業態「焼鳥IPPON」を9月1日にオープンすると発表した。
一般的には、外食企業が業態を開発してから、IT企業にシステムを発注する。しかし、焼鳥IPPONでは、両社のメンバーで構成された新規業態開発チームがデジタル技術を前提として、ゼロベースで理想の飲食店を作るべく開発した業態になるという。
同社によると、1970年頃に産業としてスタートした外食産業は、今日までの50年あまりで、人力(アナログ)を前提にオペレーションを設計。現場業務は、集客、予約、オーダー、会計などに細かく分業化・細分化されており、近年の外食のIT化では、その細分化された業務ごとに部分最適化がなされ、経営の効率化を目指してきた。
その結果、飲食店の業務は断片化が進み、全体最適とは程遠い非効率な状況が続いているという。顧客の体験も部分ごとにぶつ切りとなるだけでなく、顧客情報も散在しており、一元化されていないために深い顧客理解を得ることも困難な状況にある。
焼鳥IPPONでは、こうした飲食店の構造的な問題に対応すべく、デジタル化を前提に現場オペレーションや顧客体験を再設計した。
予約から来店、オーダー、料理提供、会計までを顧客体験と位置付けて、すべての顧客接点をデジタルでスムーズにつないでいくことで、人力では不可能だった、顧客ひとりひとりに寄り添ったきめ細かなサービスを提供。さらに、大幅な業務の合理化により、ホール業務が約4割も削減できたという。
具体的には、同社が提供する店内モバイルオーダー「トレタO/X」を採用。グループ客でも各人がスマートフォンを利用し、食べたいメニューを自身でオーダーする「個人注文」を可能としている。
また、メインメニューの焼鳥の部位や味付け(塩・タレなど)の選択だけでなく、サラダやレモンサワー、麺などは、具材やトッピング、味付け、味やアルコールの濃さ、フレーバーなど、細かいカスタマイズが可能。
この個人注文とカスタマイズを実現するため、焼鳥IPPONの料理は全てひとり用のポーションに最適化して開発されているという。
加えて、会計も大切な顧客体験と位置づけ、決済機能として新たに個人会計を導入した。この会計体験を実現するために完全キャッシュレスとし、トレタO/Xのオーダー画面からオンライン決済が可能となっている。
さらには、先に帰る人がそれまでの注文分をまとめて支払うまたは、同行者を指定して支払う「指名おごり」機能も用意する。
また、トレタO/Xのデジタルメニューの強みを生かし、ダイナミックプライシング(DP)も実現した。DPは、店舗の混雑状況(予約状況や混雑予測)などのデータをもとに、その時々に応じた最適な価格を自動でトレタO/Xのメニュー上に表示するものとなる。
このDPにより、来店需要が平準化されることで、効率的な人員配置や無駄のない仕入れが可能になる。同社では、需要と仕入れが平準化され無駄が減ることについて、結果としてフードロス問題の解決にも寄与するものと期待しているという。
なお、データの蓄積が少ないオープン当初は、ダイヤモンドダイニングが保有する既存店の来店データに基づき、曜日・時間帯別に4段階の価格を表示する。混雑する曜日や時間帯では定価で表示し、来店が少ない曜日・時間帯では最大で定価の20%引きの価格を表示する。まずはドリンクメニューからDPを採用し、段階的に全メニューでの採用を目指す。
曜日や時間帯だけでなく、来店回数の多い常連客では割引率が高くなるなど、来店客の常連度や行動履歴に基づいた価格変動も展開。まずは、8月25日より展開するクラウドファンディングで特別な会員権を発行。10月1日以降は、会員がメニューにログインすると、会員特別価格を自動表示する機能を提供開始する予定。
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