生成人工知能(AI)モデルを動作させるには、大量のデータでトレーニングする必要があり、そのデータは一般的にウェブから取得される。このトレーニングデータには、AIの訓練を目的とした使用を所有者が承諾していない、著作権のある資料が含まれている場合が往々にしてある。
Reuterによると、欧州連合(EU)のAI Act(AI規則)では、その状況を変えることが検討されている。
欧州議会は、欧州委員会が2021年に草案を発表した同規則を次の段階に進めることを決定した。つまりEU議員らとEU加盟国は、同規則案の詳細を最終決定する必要がある。
詳細の提案内容には、AIモデルを、最小から許容できないレベルまでのリスクレベルに応じて分類することが含まれているという。
ハイリスクと判断されたとしても、そのモデルは禁止されるのではなく、その利用者に対して運営上の透明性が求められることになる。
最も興味深いのは、最近追加された条項において、AI企業は、システムのトレーニングまたは開発に著作権のある資料を使用した場合はそれを開示しなければならないと定められているという点だ。
著作権のある資料がAIに使われることに対する懸念は、OpenAIのAIモデルである「ChatGPT」や「DALL・E」が2022年末に爆発的な人気を集めて以来、特に高まっている。
最も顕著な著作権侵害が生じたのは、DALL・EによるAI生成画像に自分の作品の一部が使われていることにアーティストらが気付いた時だった。DALL・Eは、トレーニングに使われた大規模な写真データベースを参考にして、まったく新しい画像を生成する。
AI開発が続けられるにつれ、新たな著作権問題が生じている。例えば、AIが生成した楽曲にアーティストの声が使用されていることが明らかになり、アーティストとそのレーベルの両方から懸念が示されている。
より厳しい著作権規制を提案するEUの規則案は、世界中で設けられる法規制の前例となり、AIの未来を変える可能性がある。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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