NTT西、共創の場「QUINTBRIDGE」がパワーアップ--スタートアップ投資強化へ

 NTT西日本(NTT西)は4月25日、大阪、京橋の本社構内にあるオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」の開業1周年成果報告会を開催した。1年にわたる運営の成果と2年目に向けた取り組みが紹介され、リニューアルオープンしたテナントエリアがメディア向けに初めて公開された。

QUINTBRIDGEは2023年3月24日に開業1周年を迎えた。
QUINTBRIDGEは2023年3月24日に開業1周年を迎えた。

 QUINTBRIDGは、当初計画していた数字を大きく上回る670の法人会員、1万270人の個人会員が登録し、15歳の高校生起業家から81歳まで、30〜40代を中心に幅広い年代がバランス良く参加するダイバーシティな場になっている。年間で384回開催されたイベントの6割は会員主催で、常時2〜300人が利用し、のべ利用者数は約7万2000人にのぼる。

 産官学とあわせて自治体やオープンイノベーション事業を展開する他の組織とも連携を広げており、全国のスタートアップによる関西市場に向けたピッチイベントなども開催している。さらにスタートアップの資金調達につながるVCや地域金融機関を含め46の組織とパートナー連携を結んでいる。

キオープンイノベーションを推進する他の組織との連携も広げている
オープンイノベーションを推進する他の組織との連携も広げている

 近畿経済産業局長の伊吹英明氏は来賓のあいさつで「オープンイノベーションが重要な時代に、企業とスタートアップを結ぶだけでなく、意思決定を早めて実行に移す活動をしているところを高く評価している。社会実装につなげると共に2年後の大阪・関西万博での成果発表も期待したい」と述べた。

近畿経済産業局長の伊吹英明氏
近畿経済産業局長の伊吹英明氏

 同じく来賓のあいさつをした関西経済同友会常任幹事でグローバル・ベンチャーエコシステム委員会の委員長を務める鈴木喜久氏は、「QUINTBRIDGEで2度行ったイベントはいずれも成功し、単なる場としてだけでなくエコシステムを活性するブリッジとしての役割を果たしていると強く感じた」とコメントしている。

関西経済同友会 常任幹事 グローバル・ベンチャーエコシステム委員会 委員長の鈴木喜久氏
関西経済同友会 常任幹事 グローバル・ベンチャーエコシステム委員会 委員長の鈴木喜久氏

 NTT西代表取締役社長の森林正彰氏は、QUINTBRIDGEが目指す姿はウェルビーイングな未来社会の実現であるとあらためて宣言し、「会員と共にこの場を最大限に活用し、成果を社会実装していく」と述べる。

ラフな”QUINTBRIDGEスタイル”で登壇したNTT西代表取締役社長の森林正彰氏
ラフな”QUINTBRIDGEスタイル”で登壇したNTT西代表取締役社長の森林正彰氏

 グループのアセットを活用したビジネス共創ピッチ「Business Match-up For Next Value」では、NTT西が展開するビジネスチャットツール「elgana」(エルガナ)の事業開発パートナーを応募し、採択された3社のうち防災マネジメントを展開するSpectee(スペクティ)と災害現場の情報をリアルタイムに収集、共有できる自治体向け防災 DX サービス「Spectee Pro for elgana」を4月20日に提供開始している。

 意思決定のスピードも上げ、例えば未来共創プログラム「Future-Build For Well-being society」では4つの領域から6つのテーマを募集し、100件を超える応募から10社を採択し、6つのプロジェクトで実証実験を行い、約6カ月で2つの事業を検討フェーズに進めるまでを短期集中型で実現している。

具体的な事業創出の事例として複数のプログラムが紹介された
具体的な事業創出の事例として複数のプログラムが紹介された

 2年目の目標としては、1年で構築してきたポジティブなスパイラルを回していくため、会員にアセット、課題、フィールド、アイデアを持ち寄ってもらい、新たな価値の提供で社会を前進させる場所を目指すとしている。前述したプログラムの強化に加え、会員が教え合い、学び合う3つのプログラムを実施。グローバル連携を強化し、スタートアップへ積極的に投資することを発表した。施設としては3階をオフィスエリアにリニューアルし、スタートアップや金融組織らが登記できる体制を整えている。

「NEST(巣)」をコンセプトにした3階のスペース
「NEST(巣)」をコンセプトにした3階のスペース
最大15社が入居できるオフィスやオープンスペースが用意されている
最大15社が入居できるオフィスやオープンスペースが用意されている

 メディア向けの質疑応答では、NTT西では初となるスタートアップへの直接投資の強化に質問が集中した。森林氏は「事業化の課題に資金不足を挙げるスタートアップが多く、一緒に事業を行えるアーリーステージのIT企業を対象に、額は未定だが臨機応変に投資を行っていく」と回答。3階のテナント入居もその一つで、ネットワークやクラウド、セキュリティなど得意とする分野でのバックアップや、社員も積極的に参加して事業化に協力するとしている。

キNTT西としてスタートアップへの直接投資を強化すると発表
NTT西としてスタートアップへの直接投資を強化すると発表

 関西でも増えているその他のオープンイノベーション施設との違いとしては、館内にIOWNの接続点があり使用できることや、最先端技術のショーケースとして将来的なビジョンや未来のアイデアを見せる場であることを挙げる。全国5カ所にビジネス支援の拠点として展開しているLINKSPARKとの連携も進め、話題のAIについても人材育成を含めて活用に着手していると説明した。

3階には「NTT IOWN総合イノベーションセンタ 大阪オープンルーム」が入居する
3階には「NTT IOWN総合イノベーションセンタ 大阪オープンルーム」が入居する

 また、オープン後の2022年6月に就任した森林氏にとってQUINTBRIDGEで行われていることは、自身としてまさしくやりたかったことで、企業としても大きな価値があると話す。「この1年で協業の下地ができ、未来にリターンがある投資として位置付け、ソフト面でも支援に力を入れていく。実績としてはQUINTBRIDGE発のビジネスを会員と共に積み上げ、両者にとっての収益につなげていきたい」と言い、関西から世界へ発信できる場にしていきたいとコメントした。

「QUINTBRIDGE発のビジネスを会員と共に積み上げ、両者にとっての収益につなげていきたい」と森林氏
「QUINTBRIDGE発のビジネスを会員と共に積み上げ、両者にとっての収益につなげていきたい」と森林氏

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]