Twitter創業者が支援する新SNS「Bluesky」は新たな青空を切り拓くか

堀 正岳,コグレマサト2023年04月14日 08時00分

 イーロン・マスク氏によるTwitterの買収以降、経営状態の急速な悪化が伝えられたり、認証バッジにまつわる場当たり的な仕様変更やサードパーティアプリが締め出されたりといった変化がユーザーを翻弄している。

Blueskyのウェイティングリスト登録画面
Blueskyのウェイティングリスト登録画面

 従業員の大量解雇が影響しているのか、タイムラインの表示に関連した不具合の頻度も多くなり、Twitterが今後もサービスを継続できるのかを不安視する声もしだいに高まっているのが現状だ。

 そうしたなか、Twitterに代わるSNSを模索する動きも活発化している。たとえばTwitterに似た分散型SNS「マストドン」は、イーロン・マスク氏の買収後に一時期250万人のアクティブユーザーが流入し、現在もユーザーを着実に伸ばしている。

 そしてもう一つ、Twitterにかわる新しいSNSとして期待を集めているのが、元TwitterCEOのジャック・ドーシー氏の支援を受け、Twitterから独立して設立された「Bluesky」だ。Blueskyは3月にiOS向けのアプリ「Bluesky Social」を公開し、招待されたユーザーを対象にベータテストを進めていたが、4月になって招待コードの発行が活発化したこともあって、日本でも利用が急速に広がっている。

 本稿ではBlueskyの特徴と、そのTwitterに比べて先進的な仕様についてご紹介しよう。

フォローも投稿もRTも--基本はすべてTwitterと同様

 現時点では、Blueskyにアカウントを作るにはユーザーから招待コードを受け取る必要がある。招待コードは定期的に発行されるので、知り合いに利用者がいないか、あたってみるといいだろう。

 BlueskyはiOS版のアプリがリリースされているので、iOSアプリストアから「Bluesky Social」アプリをインストールし、新規アカウントを作成しよう。なお、Androidアプリおよびブラウザ版は現在開発が活発に進められている。またユーザーの手で開発された非公式のクライアントも存在するが、利用には注意が必要だ(※その後、公式のAndroid版が登場した)

 新規アカウントの作成画面
新規アカウントの作成画面

 登録を始めると、Blueskyアカウントをホストするプロバイダーを選択せよという画面が表示されるが、ひとまずはデフォルトの「Bluesky」を選択し、認証コードを入力するのでよい。Twitterと同じく@で始まるユーザー名を設定すれば、すぐに使い始めることができる。

 Blueskyのタイムライン
Blueskyのタイムライン

 Blueskyの利用の仕方はTwitterとほぼ同様だ。他のユーザーをフォローすることで情報の流れるタイムラインが生まれ、右下のボタンで投稿ができる。

 Blueskyの利用の仕方はTwitterとほぼ同様だ
Blueskyの利用の仕方はTwitterとほぼ同様だ

 Blueskyの文字数制限は300字で、写真の投稿も可能だ。また、他人の投稿に対するリプライやいいね、リツイートと同様の「Repost」、引用リツイートにあたる「Quote Post」を行う点もTwitterと似通っている。

 まずはアプリに表示されるユーザーをおすすめされるままにフォローしてみよう。生まれたばかりのまだまだ小規模のコミュニティが和気あいあいと交流している様子がすぐにタイムライン上で見えてくるはずだ。その様子はまるで黎明期のTwitterそのものだ。

 さまざまなところがTwitterに似ているBlueskyだが、それではどんなところが違うのか、そのヒントはプロフィールをみた際のユーザー名、たとえば私の場合「@mehori.bsky.social」の部分に隠れている。

Blueskyを支える、分散型の「AT Protocol」とは

 この「@mehori.bsky.social」というユーザー名のうち、「@mehori」の部分は私のアカウント名である一方、「bsky.social」はこのアカウントが登録しているサーバーを指し示している。現在はテスト中なので公式に提供されているサーバーは一つのみだが、将来的には世界中に存在する無数のサーバーが互いに協調して、Blueskyという巨大なSNS全体を支える仕組みになっている。

 Twitterがユーザーから見ると単一のサービスにみえるために「中央集権的」と呼ばれるのに対して、複数のサーバーが共通のプロトコルを通してSNSを作り出すBlueskyやマストドンのような仕組みは「分散型」(Federated)のSNSと呼ばれている。

 マストドンを支えているプロトコルはActivityPubであるが、Blueskyはこうした既存の分散型SNSのプロトコルを研究したうえで新たに開発されたAT Protocolを使用しているのが違いだ。


 既存の分散型SNSは大規模にスケールしようとするとパフォーマンスに問題が生じる傾向があるが、AT Protocolはこれを回避できるように設計され、開発が行われている。また、これ以外にも、ユーザーにとって魅力的な機能がいくつかある。

 その一つが、アルゴリズム選択性だ。たとえばTwitterではタイムライン上にどのようなツイートが表示されるか、どのような情報をノイズとみなして除外するかといったアルゴリズムがTwitterの思惑次第となっている。先日、タイムライン上にイーロン・マスク氏の投稿ばかりが表示されるようになった出来事があったが、これもTwitterが恣意的にアルゴリズムを調整した結果だ。

 Twitterはそれ以外にも広告収入を増やすためにエンゲージメントの高い一部の政治家、セレブ、あるいはネガティブなエンゲージメントで耳目を集める問題発言の多いアカウントをアルゴリズムが優先して表示することが指摘されているが、それが嫌であったとしてもTwitterのユーザーには対抗手段がない。

 Blueskyではこうした問題を、ユーザーがアルゴリズムを任意に選択して解決できるように設計されている。タイムラインの傾向が気に入らなければ、自分の好みに合わせてアルゴリズムを選択できるし、Blueskyサーバーがアルゴリズムの良し悪しで競争したり、独自色を打ち出せるわけだ。

 また、Twitterには存在しない、フォロワーとの関係を維持したままアカウントを他のサーバーに移動できるといったポータビリティの機能もAT Protocolでは計画されている。

 これらの機能はまだまだ開発中ではあるものの、BlueskyがTwitterの教訓を生かして先進的なSNSを目指しているのはユーザーとして心強いといえるだろう。

【4月20日13時20分】

※一部、情報をアップデートしました(編集部)。

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