今から50年前の1973年4月3日、MotorolaのMartin Cooper氏(現在では、携帯電話の父と広く考えられている)は世界で初めて、携帯電話から電話をかけた。それ以来、携帯電話は変化を遂げてきた、というのは控え目な表現だろう。当時は、電話をかけられることだけで偉業だったが、今日のデバイスでは映画をストリーミングしたり、家庭用ゲーム機と同等の品質のゲームを動かしたり、ほぼプロレベルの写真を撮影したりできる。
だが、私たちが知るところのスマートフォンは、10年以上にわたってほとんど変わっていない。プロセッサーの高速化やディスプレイの大型化、カメラの高性能化は進んでいるが、スマートフォンの全体的な形状は変わっていない。
Motorolaや競合各社は、従来のスマートフォンの先を見据えることによって、そうした状況を変えようとしており、モバイルデバイスの次の大きな進化を提示したいと考えている。Motorolaの最新の取り組みは、2023年2月下旬に開催された「Mobile World Congress(MWC)」で大々的に披露され、ボタンを押すだけで伸縮できる巻き取り式ディスプレイを備えたコンセプトスマートフォンが公開された。同社は2022年8月、クラムシェル型の折りたたみ式スマートフォン「razr」の新バージョン「moto razr 2022」も発表したが、このモデルは中国国内でのみ販売されている。
一方、サムスンは「Consumer Electronics Show(CES)」で独自のコンセプトデバイスを披露した。2023年には、OnePlusとGoogleも折りたたみスマホの市場に参入する見通しだ。これらの進展を総合して考えると、携帯電話は現在、再び変革の過程にあるようだ。この状況は、スマートフォンが登場する何年か前の携帯電話市場とよく似ている。当時は、スライドアウト式のキーボードを搭載した携帯電話が市場にあふれていた。とはいえ、この次の時代がどのようなものになるのかも、その時代がいつ訪れるのかも不明だ。
Motorolaにとって最も重要なのは、スマートフォンをより便利なものにすると同時に、もっと目立たないものにもする方法を見つけることだ。これは、Motorolaのプロダクトイノベーション担当ゼネラルマネージャーのJeff Snow氏と、カスタマーエクスペリエンスおよびデザイン担当エグゼクティブディレクターのRuben Castano氏の言葉である。両氏は、世界で初めて現代的な携帯電話から電話が発信された日の50周年記念日に、米CNETとのオンラインでのインタビューに応じ、スマートフォンの今後の方向性について語ってくれた。
「将来、人々が今の時代を振り返って、『7インチのガラス板のようなデバイスをポケットに入れて持ち歩いていたのが信じられない』と言うようになると思う」とSnow氏。「このデバイスは、ほとんどの人の流動的な生活にあまり適さなくなっている」
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