「Oura Ring第3世代」の見た目は普通のアクセサリーだ。しかし、このさりげなさこそ、Oura Ringを現代のテクノロジーガジェットたらしめているものにほかならない。何の変哲もない小さなリングの中に、心拍数や血中酸素濃度などを測定するセンサーがいくつも詰め込まれている。軽量で目立たない外見からは、このリングがいかに多くのデータを追跡しているかは想像もつかないだろう。
人間が眠りにつくと、Oura Ringの活動は一段と活発化する。血中酸素濃度や心拍数、体温といった指標を夜通し測定するためだ。翌朝起きてアプリを開けば、前の晩に集められたデータが整理され、分かりやすく表示されている。フィットネスや健康、最新の技術トレンドに関する情報にアンテナを張っている人なら、おなじみの機能かもしれない。
今回の記事では、Oura Ring第3世代を2年近く使ってきた筆者が、これまでの経験をもとに、このスマートリングの使い心地を改めて紹介する。今からOura Ringに投資する価値があるか迷っている人がいれば、ぜひ参考にしてほしい。
スマートリングを求めている人でも、ウェアラブル製品全般を広く探している人でも、Oura Ring第3世代の購入を検討しているなら必ず押さえておきたい新機能を体験談と合わせて紹介したい。
Ouraは2022年5月に心拍数の追跡機能、7月に血中酸素濃度(Sp02)の測定機能を追加した。どちらの機能も、今はOura Ring第3世代の体験に欠かせないものだ。センサーのアップデートにより、睡眠中のSp02やその変動を測定できるようになり、翌朝に確認できる指標の精度がさらに高まった。Sp02センサーを用いることで、夜間の呼吸の乱れや変化も把握できる。
「ワークアウト心拍数(WHR)」は、新たに搭載された緑色のLEDを使って運動中の心拍数を記録する。WHRを「リアルタイム心拍数」や「安静時心拍数」と組み合わせることで、24時間の心拍数グラフも表示可能だ。ただし、WHRを利用するためにはスマートフォンの位置情報サービスを有効にしておく必要がある。また、ランニングのルートや距離などを記録したい場合は、運動中もスマートフォンを携帯していなければならない。
それでも筆者はOura Ringの柔軟性が気に入っている。画面に一日中張りつくのが嫌な人、頻繁に飛んでくる通知が気になって集中できない人には、スマートリングはおすすめだ。
筆者は、腕時計であれ何であれ、重いデバイスを手首に着けたままでは眠れない。そのため、軽量で通気性の良いチタン仕上げのOura Ringを重宝している。しかも、Ouraのアプリが毎朝表示してくれる睡眠スコアは、驚くほど詳細に前夜の睡眠状態を教えてくれる。この大部分は、最近追加された「睡眠段階」機能のおかげだ。
Oura Ringの睡眠トラッキング機能は、これまでもベッドの中で覚醒している時間と寝ている時間の両方を測定できたが、2022年末に新たに「睡眠段階」機能が追加された。技術的にはまだベータ版の段階だが、追跡アルゴリズムを改良することで睡眠時間と覚醒時間の測定精度が高まった。ユーザーがしなければならないことは何もない。リングを着けて寝るだけで、センサーが勝手に分析してくれる。
「睡眠段階」の最大の魅力は、Ouraが売りにしている「睡眠研究室並みの精度」だ。下のグラフを見ると分かるように、睡眠段階の判定精度は病院などで行われる睡眠ポリグラフ検査に引けを取らない。これは正しい方向への進化だ。Oura Ringは、睡眠中に装着するウェアラブル製品の中では圧倒的に着けやすい。このため、睡眠センサーの感度が高まることは、Oura Ringの最大の魅力をさらに際立たせる。
Oura Ringは第3世代から、月額5.99ドル(日本では6.99ドル、約900円)のサブスクリプションが導入された。これは賛否両論の機能だ。購入時に支払った本体料金以外のコストを歓迎する人はいないだろうが、あえていい点を探してみよう。例えば、この月額料金は筆者が契約しているストリーミングサービスやジムの会費よりも安い。しかも、Oura Rngのデータを利用する頻度は、動画を見たり、ジムに通ったりする頻度よりも高い。はっきりとした効果もある。毎朝、睡眠スコアをチェックするようになり、アクティビティや回復のスコアをもとに食事や睡眠、行動を見直すようになった。
Ouraアプリを使えば、睡眠やリラックスといった目的別のガイド付き瞑想ライブラリーも利用できる。ちまたの有料瞑想アプリの中には、Ouraより月額料金が高いものもあるが、当然、身体データの測定機能はついていない。筆者が試した限り、Ouraの瞑想は助けになり、さまざまな長さのコンテンツが用意されている点も使いやすい。すべてが一箇所にまとまっているので、瞑想と健康関連のスコアのつながりも理解しやすい。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」