1965年に創業したコープさっぽろは、環境問題に早くから取り組んできた。2008年には業界に先駆けレジ袋の有料化を開始。店舗から出たゴミを自分たちで処理し、再利用する「エコセンター」も立ち上げた。環境先進事業に力を入れる中「店舗から排出されるCO2も削減したい」という思いからスタートしたのが、LED照明の導入により消費電力量が削減でき、電気代カットにもつながるパナソニックの「照明の機能提供型サービス」だ。
パナソニック エレクトリックワークス社マーケティング本部北海道電材営業部電材営業開発部の馬杉道裕氏は「燃料価格の上昇により、電気料金の値上げが続く中、消費電力量を抑えられるLED化は早期実施が望まれている」と昨今の照明事情を説明する。
LED照明の寿命は約4万時間と言われ、耐用年数は8〜10年程度。従来の蛍光灯などに比べ、格段に長寿命化しているが、「利用中の故障」や「交換時期の計画、予算化が立てにくい」などの困りごとも生じていた。
照明の機能提供型サービスは、導入時の照明設計や消費電力量の削減をサポートすると共に、保守や修理まで請け負ってくれる月額サービス。照明デザインや省エネ効果を打ち合わせしながら構築していき、機器の修理もサービスに含まれる。「定期的に照明の状態を点検するため、快適な売り場を保てるほか、レイアウト変更などにも対応が可能。今までは、照明の導入時に大きな費用が発生していたが、月額払いになるため、初期費用を大幅に抑えられる」(馬杉氏)とメリットを説明する。
すでに2019年からこのサービスを導入するコープさっぽろは、全108店舗中、約8割の店舗で照明の機能提供型サービスを採用。「利用してみて、何も不自由がない。全店舗の導入を目指す」(生活協同組合コープさっぽろ 執行役員開発本部長の村上伸吾氏)と信頼を寄せる。
元々パナソニック製の蛍光灯などを使っていたというコープさっぽろだが、一時期海外製のLEDを取り入れたところ、想定よりも使用期限が短かったことなどを受け「価格だけで照明は選べない。品質や機能、コンセプトから導入を決めた」(村上氏)と理由を明かす。
2022年10月に開店したコープさっぽろ「そうえん店」では、一体型LEDベースライト「iDシリーズ」、ダウンライト、スポットライトなど計500台のLED照明を導入。「鮮魚売り場には採光色のスポットライトを取り入れるなど、色がきれいに見えるものを取り入れ、食品のおいしさを引き立てるようにしている」(馬杉氏)とのこと。
「一時期、節電のため店内を暗くしたこともあるが、私どものお客様は年齢が高い人も多く、暗いと見えづらい。そのため明るさを大事にしてきた。色合いなどを研究したほか、照度を重視し、パナソニックの特長をいかした形に仕上げられた」(村上氏)と見やすさを優先したという。現在、そうえん店では鮮魚売り場近くに「ナノイー発生機」を試験的に導入するなど、照明以外のパナソニック製品と組み合わせた店舗づくりも推進する。
「コープは生活協同組合のため、組合員のために仕事をすることが基本で、半公共的な発想をもって事業をしている。一度店舗を作ると、そう簡単には閉めないため、1店舗の減価償却は30数年程度で、40年持つことを想定している。照明の機能提供型サービスは、都度更新する必要がなく、長い目で考えてメリットがある」(村上氏)と店舗との相性の良さを強調する。
照明の機能提供型サービスのサポートは、7年(もしくは4万時間)ごとの更新が必要。これはLED照明の寿命が1日15時間使用で約7年間が目安となるため。ただし、バックヤードの使用など、店頭での点灯時間が異なる場合なども考慮し、サービス提供時にヒアリングし、店舗の形態にあわせて計算し、条件を定めているという。従来の一括払いでは工事費含め導入時に約2000万円の費用が生じていたが、こちらのサービスを使うことで、月額35万円程度に抑えられるという。
パナソニック エレクトリックワークス社マーケティング本部北海道電材営業部北営業部長の竹内裕介氏は「私たちマーケティング本部は、現場の最前線でお客様のお困りごとを解決する営業部隊。モノを売るだけでなく、新たな顧客体験価値やコロナ後のニューノーマルへの対応、カーボンニュートラルといった課題を解決する施策を提供している。エネルギーソリューション関連市場は今後大きな成長が期待されているところ。カーボンニュートラルの自助となる安心安全な暮らしをエネルギーとICTの融合で社会に貢献し、持続的な成長を続けることが狙い」と取り組みについて説明した。
現在、店舗を中心に展開している照明の機能提供型サービスだが、今後は工場や配送センターなどにも広げていく考え。「照明を活用するすべてのところを対象にしかけていきたい」(馬杉氏)とした。
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