CNET Japanの編集記者が気になる話題のトピックなどを紹介していく連載「編集記者のアンテナ」。主にゲームなどのエンターテインメント関連も取材している佐藤が担当。今回は、3月18日と19日に国立代々木競技場 第一体育館にて行われたライブイベント「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 5thLIVE If I_wings.」の模様をお届けする。
これは、バンダイナムコネクサスのゲームプラットフォーム「enza」などで展開している、バンダイナムコエンターテインメントの「アイドルマスター シャイニーカラーズ」(シャニマス)をテーマに、登場するアイドルの声を担当しているキャストによるライブイベント。今回の5thライブは、2023年4月に5周年を迎えるにあたっての大型ライブとなっていた。
出演したのは、ゲーム内の283(ツバサ)プロダクションに所属する7ユニットのキャストで、「イルミネーションスターズ」の関根瞳さん(櫻木真乃役)、近藤玲奈さん(風野灯織役)(※DAY2のみ)、峯田茉優さん(八宮めぐる役)、「アンティーカ」の礒部花凜さん(月岡恋鐘役)、菅沼千紗さん(田中摩美々役)、八巻アンナさん(白瀬咲耶役)、希水しおさん(三峰結華役)、結名美月さん(幽谷霧子役)、「放課後クライマックスガールズ」の河野ひよりさん(小宮果穂役)、白石晴香さん(園田智代子役)、永井真里子さん(西城樹里役)、丸岡和佳奈さん(杜野凛世役)、涼本あきほさん(有栖川夏葉役)、「アルストロメリア」の黒木ほの香さん(大崎甘奈役)、前川涼子さん(大崎甜花役)、芝崎典子さん(桑山千雪役)、「ストレイライト」の田中有紀さん(芹沢あさひ役)、幸村恵理さん(黛冬優子役)、北原沙弥香さん(和泉愛依役)、「ノクチル」の和久井優さん(浅倉透役)、土屋李央さん(樋口円香役)、田嶌紗蘭さん(福丸小糸役)、岡咲美保さん(市川雛菜役)、「シーズ」の紫月杏朱彩さん(七草にちか役)、山根綺さん(緋田美琴役)。DAY2においてはフルメンバーが集結した。
新型コロナウイルスの流行以降、アイドルマスターシリーズにおけるライブイベントでは声援を控える形となっていたが、2月11日以降に開催されるバンダイナムコエンターテインメントの主催イベントにおいては、不織布マスク着用の上での声出しを解禁。シャニマスの単独ライブとしては久々の声出し可能なイベントということもあり、会場に集まった“プロデューサーさん”(※アイドルマスターシリーズのファンのこと)は、キャストのパフォーマンスやトークに対して声援や拍手を送っていた。あわせて、オンラインでも公演の配信を実施した。
今回は、最新のCD「THE IDOLM@STER SHINY COLORS PANOR@MA WING」シリーズを含めて、さまざまなユニット楽曲を中心に披露。またDAY1とDAY2についてセットリストの一部だけではなく、演出についても異なるものとなっていた。
DAY1の冒頭、従来であれば283プロの事務員である七草はづきから、注意事項を含めたアナウンスが行われるところ、今回は283プロの社長である天井努とはづきが何やら話しているボイスストーリーからスタート。その内容も意味深なものであり、ライブ前日と思われる283プロの事務所で疲れている様子の努や、はづきが「全部が終わるわけじゃないです。最後まで目に焼き付けましょう、光を」と、“終わり”を暗に示すような内容に、軽いどよめきが起きるほど。そして、切なさを感じさせるBGMに真乃のナレーション、白い羽と黒い羽が舞うオープニング映像を経て、黒地にライブロゴが映し出されてライブが開始となった。
1曲目は放課後クライマックスガールズの「一閃は君が導く」。野球がイメージされる楽曲で、CDのジャケットイラストで描かれている新衣装をまとって5人が登場。シャニマスの元気担当と言える放課後クライマックスガールズで、声出しがある公演でのコールなど、冒頭の不穏な空気感を吹き飛ばすようなステージとなっていた。
そのあとも各ユニットによる「PANOR@MA WING」収録曲の披露が続く。アルストロメリアは「Give me some more…」で、イメージをがらっと変えるようなセクシーなステージを見せる。ストレイライトによる「Overdrive Emotion」では、スピード感あふれる楽曲とダンサブルなステージで魅了していく。ノクチルの「Catch the Breeze」では、ポップで少し切なさを誘うような楽曲を披露。アンティーカの「浮動性イノセンス」では、シンフォニックロックの熱唱と、白を基調とした新衣装が目を引くものに。シーズは「Bouncy Girl」で、持ち味であるスタイリッシュかつダンサブルなステージを披露。イルミネーションスターズの「イルミネイトコンサート」では、階段裏モニターに2色のコンサートライトが揺れる映像を映し出すなか、ポップな曲調にあわせて軽快に歌い踊っていた。
7ユニットの楽曲披露が一巡したところで、全員がステージに登場。冒頭の挨拶は、今回各ユニットごとにアイドルとしての挨拶をしつつ、役名と名前を言う形に。そのアイドルの挨拶は、普段とかわらないようなところもあれば、どこか寂しさや強い決意も感じさせるもの。特ににちかは怒りすら感じられるような内容であった一方、このときの紫月さんをはじめ、キャスト自身としての挨拶は明るい雰囲気だったため、違和感を覚えるものに。そんな戸惑いもよそに、特に説明もなく次のパートへと進んでいく。
まずはアンティーカの「バベルシティ・グレイス」から再開。アンティーカ始まりの曲を力強く歌うなかで、会場一体となった「アンティーカ!」の声も久々に響き渡る。
ここでステージでは、和太鼓、尺八、三味線の和楽器隊による演奏が始まり、和の雰囲気を作ったあとで歌われたのは、ストレイライトの「Hide & Attack」。和楽器隊の生演奏を交えた“和ロック”と言える楽曲のパフォーマンスにテンションもさらに高まっていく。
放課後クライマックスガールズの「キャットスクワッド」は、猫をイメージした振り付けんをふんだんに盛り込み、賑やかなステージに。楽曲が終わったかと思ったらまだ続くという、フェイントを入れる遊び心を感じさせる一面も。
シーズの「Fashionable」では、センターステージにライトが付いて歌い始めると、シーズの2人だけではなく、3人の男性ダンサーの姿も。アイドルマスターシリーズでも珍しいステージとなるなかでも、よりスタイリッシュさを増したパフォーマンスで魅了するものに。
ノクチルによる「いつだって僕らは」は、ノクチル始まりの曲で幾度も披露してきた安心感と変わらない透明感、それでいて新衣装と歓声も加わって新鮮な気持ちで見られるステージに。
ここで、ライブの舞台裏と思われる場所でアルストロメリアの3人が会話しているボイスストーリーが流れ、“おしまい”を示唆する言葉が出てきたなかで披露されたのは「Anniversary」。意味深なやりとりの上で歌われたバラードソングは、エモーショナルな気持ちを増幅させる。さらに、放課後クライマックスガールズによる“思い出を忘れない”といった内容のボイスストーリーが流れたうえで「拝啓タイムカプセル」が歌われ、夕焼けをイメージさせる映像もあわさって、元気な歌声なのに涙腺を刺激してくる。そのあとは、イルミネーションスターズの「FELICE」。心が穏やかになるような、2人の明るく優しい歌声が場内に響き渡った。
アンティーカの“最後に、最高で最強”という言葉も出てくるボイスストーリーを経て、センターステージに5人が登場するなか、八巻さんはボロボロな紫色の大きな旗を肩に担いで登場し、ステージに突き立てる。その旗がなびくなかで「Black Reverie」。前述の言葉を感じさせるような気迫のこもったステージが展開された。
そして、イルミネーションスターズが中1曲だけで再度登場。「PRISISM」で、持ち味でもある輝きを示すように、明るくポップな楽曲を軽快に歌う。間髪入れずストレイライトによる「Tracing Defender」では、疾走感あふれる楽曲と力強さを感じるパフォーマンスで魅了していく。たたみかけるように、シーズの「Fly and Fly」で、キレのあるダンスパフォーマンスやラップを織り交ぜた歌唱や、終盤の紫月さんによるシャウトで圧巻のステージを展開した。
アルストロメリアによる「VERY BERRY LOVE」では、熱気が高まったプロデューサーさんたちを魅惑の世界へといざなうような、スローテンポで独特な世界観の楽曲を披露した。
チャイムの音から始まるノクチルのボイスストーリーは、学校と思われる場所でのやりとりをしているなかで、箒をギターのように手にし、ゲーム中でも透が着ている制服を着用した和久井さんの姿を映し出す。そしてスクリーンに映し出された学校を背景に“ウチらだけのステージ”で歌われたのは「今しかない瞬間を」。ほかの3人も制服姿で、箒をギターやベースのようにに、机をドラムやキーボードのように見立てて演奏するような振り付けで歌う一幕も。
ボイスストーリーを挟みつつも、実に14曲連続で披露された後にキャスト陣がステージに全員登場。MCではノクチルの制服やユニット新衣装、ストレイライトの和楽器隊などといったスペシャル演出などに触れつつ、次のパートへ。
花火の音から始まるノクチルのコミュ「天塵」を回想するようなボイスストーリーが流れ、小糸が“ずっと一緒にはいられない”といった言葉も口にするなかで「アスファルトを鳴らして」が歌われ、ノクチルが持つ透明感を出しつつも切なさを誘うようなステージになっていた。
放課後クライマックスガールズは、ユニット始まりの曲でもある「夢咲きAfter school」。コールもさることながら、久々にプロデューサーさんとともに高らかに口にする、2番での“No.1”で一体感を高める。アンティーカの「愚者の独白」では、5人がスタンドマイクを前に、伸びやかに響く歌声で独特な世界観を構築していた。
シーズのボイスストーリー流れ、にちかだけが登場し独白のように語りつつ、歌われたのは「OH MY GOD」。幾多の場面で披露し続け、そして魅了してきたこの曲を、磨き上げられた高いパフォーマンス力を持って歌っていた。さらに、続いて登場したストレイライトは「Wandering Dream Chaser」を披露。パワフルなステージで魅了していった。
“アイドルとして最後に歌う曲”を示唆するようなアルストロメリアのボイスストーリーが流れ、「ダブル・イフェクト」が歌われる。ポップな雰囲気で笑顔を見せながら歌うものの、切なさが強調されるようなステージとなっていた。
このパートの最後として披露されたのは、イルミネーションスターズの「Twinkle Way」。ライトや電飾、映像も含めてアイドルのイメージカラー2色がステージを彩るなかで軽快に歌う。2人がキャスト陣をステージに呼び込み、全員そろったところで歌われたのは「Resonance⁺」。希望を感じさせる楽曲を披露し、ライブ本編は一区切りに。
会場内が暗転しアンコールの声があがるなか、キャスト陣はライブキービジュアルでもアイドルたちが着用しているような、真っ白なワンピースをまとって再登場。切なさを感じさせるような「いつか Shiny Days」で歌声を響かせた。
終盤ではひとりずつ挨拶する形で、5周年のお祝いやプロデューサーさんへの感謝の言葉が伝えられる。切々に語ったり明るく賑やかに語ったりとその内容は人それぞれだったが、DAY1に関わらず、これからの話題がなく、エモーショナルな空気感が漂うものに。
DAY1のラストナンバーは「Multicolored Sky」。物語のエンディングを感じられるような楽曲で歌われるなか、最後に“La La La”のフレーズを歌っているところで、スクリーンに映しだされている七色がかった青空がモノクロームになり、1ユニットずつ歌うのを止めてステージを後に。そして最後に残ったイルミネーションスターズの2人が歌うのを止めて、一緒ではなく上手下手に別れてステージを去る。楽曲が終了し、落ちていく一枚の黒い羽が消え、一枚の白い羽が落ち続ける映像を経て、ライブキービジュアルが映し出されて、そのまま公演が終了。締めくくりの挨拶や、はづきの終演時の挨拶、さらには業務連絡と題した今後の告知も行われなかった。ライブの充実感というよりも、とまどいと困惑といった空気感を残したまま、DAY2へと移っていった。
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