仕事にどう活用できるのか--ビジネスパーソンのためのChatGPT入門

 今、大ブレイク中の「ChatGPT」は米OpenAIが2022年11月にリリースした、AIチャットボットだ。2023年1月には月間アクティブユーザーが1億人を突破するなど、史上最速で急成長しているサービスとなっている。この手のサービスは英語が先んじるのが普通だが、ChatGPTは日本語でも利用できるのがウリ。

言葉の意味を理解しているわけではない「ChatGPT」

 ChatGPTを触った人たちが、驚愕し、熱狂してSNSやブログで情報を発信しているが、まだ未体験の人は眉に唾をつけて見ているかもしれない。筆者も数年前から、ChatGPTの技術のベースとなっているGPT3に関する取材を行ってきた。その時から、人間のようなアウトプットができるようになっていたが、それでもまだまだSF映画の人工知能のような会話は無理だと思っていた。

 GPTでは、たとえば「私は」の後にくる言葉の確率を「楽しい」が30%、「悲しい」が20%、「お腹が」が10%、のように計算してつなげていく。つまり、言葉の意味を理解しているわけではないのだ。しかし、GPT3.5ベースの無料版ChatGPTを使っただけでも、革新的な体験が得られるので驚いた。あたかもChatGPTが賢者のように何でも回答してくれるのだ。質問だけでなく、ロールプレイから事務作業までこなしてくれる。

 現在、ChatGPTの登場で尻に火が付いた他の企業もこぞってAIサービスをリリースし、混沌とした状況になっている。OpenAIは畳みかけるようにChatGPTのAPIを公開し、毎日のようにChatGPT関連のサービスがお目見えしている。

 最前線の状況をすべて把握するのは難しいが、それでもChatGPTのような生成AIにはなるべく早く触っておいた方がいい。今後のビジネスシーンで活用されることは間違いなく、「AIってよくわからない」では済まなくなるからだ。そこで今回は、ChatGPTが仕事にどう活用できるのかを実際の画面とともに紹介する。

ChatGPTは無料でも利用できる。「TryChatGPT」をクリックしてログインする
ChatGPTは無料でも利用できる。「ChatGPT」をクリックしてログインする

無料版と有料版の違いとは

 ChatGPTは無料で利用できるが、月額20ドルの有料プランだと応答速度が上がるうえ、GPT4ベースの機能も利用できる。GPT4はGPT3.5よりも回答の精度が上がり、扱える文字数も多くなっている。筆者も有料プランを契約し、ビジネスに活用している。

 何ができるのかと言うと、チャットで文章を投げかけ、返答を受け取るだけ。しかし、これが工夫次第で色々なことができるのだ。何かを質問して答えを聞くのはもちろん、手紙の文面を考えてもらったり、自分が書いた原稿を添削してもらうことができる。新規プロジェクトについて一緒にブレストしてもらうこともできるし、広い情報からリサーチさせることも可能。文字数制限はあるが、要約も得意だ。

 出版レベルかどうかは置いておいて、小説や詩を書けるし、ビジネスの書籍を書くこともできる。きちんと指示すれば、動作するプログラミングもできる。

ChatGPTは無料で利用できるが、月額20ドルの有料プランはより高性能に
ChatGPTは無料で利用できるが、月額20ドルの有料プランはより高性能に

プレゼン資料の構成案も稟議書のたたき台も瞬時に作ってくれる

 さて、では実際にChatGPTを使ってみよう。皆さん、プレゼン資料を作るのにとても時間が取られているのではないだろうか。入れ込むべき内容とその順番を考えるだけで、手間がかかる。そんな時は、ChatGPTの出番。

 たとえば、あるNPO法人の事業内容を簡単に書き、続けて「団体の紹介をするプレゼン資料を10枚ほど作ろうと思うのですが、どんな構成にしたらよいでしょうか」と入力してみる。質問は丁寧語の方がいい回答が得られる傾向にある。

 質問を入力すると、即回答が返ってくる。きっちり10ページ分、NPOが紹介すべき内容と共に提示してくれたのだ。内容をチェックしてみたのだが、問題なく、このままスライドのドラフトとして使えそうなクオリティだった。

プレゼンの構成を考えてくれる
プレゼンの構成を考えてくれる

 ChatGPTが示した構成の「はじめに」には、「デジタルリテラシーとは何かを説明する」や「デジタルリテラシーが重要な理由を説明する」項目がある。試しに、「デジタルリテラシーとは何かを説明する、という項目にはどんな文章を書けばいいですか?」と続けてみる。

 瞬時に、素晴らしい文章が2段落生成された。このまま原稿になりそうなくらいだ。しかし、プレゼン資料に入れるには長い。そこで「短くまとめてください」と入力する。何をまとめるのか、など入力する必要はない。ChatGPTは会話を覚えているので、人に話すように頼めばいい。すると、下記の回答が得られた。

「デジタルリテラシーとは、デジタル技術や情報を適切に扱うために必要なスキルや知識、そして態度のこと。コンピュータやスマートフォン、インターネットを安全に、効率的に利用するために不可欠なスキルであり、現代社会においてますます重要になっている」

構成の要素も代わりに考えてくれる
構成の要素も代わりに考えてくれる

 稟議書も書いてくれる。ざっくりだが、「CRMを導入する稟議書を書いてください」と入力してみると、即、稟議書のたたき台ができる。人間のように「どんなCRMですか」「目的は何ですか?」など質問を返すことなく、黙って、すぐに作業してくれるのだ。しかもそこそこまともな内容になっている。差し替えるべき場所には「提案者氏名」などの指示が入っている。

 この段階で、Wordにコピーして自分で体裁を整えてもいいが、もうちょっとわがままを言ってみよう。「CRMの製品名は『CNET』、提案者は柳谷智宣、部署は情報システム部、日付けは4月末です。初期導入費用は50万円、月額使用料は10万円、初期研修費は10万円で、消費税は別。背景と結論の説明部分をもう少し、ボリュームを増やしてください」と入力してみる。

 指示通り、情報が入り、説明が増え、稟議書の日付を4月末にしたので導入スケジュールまで更新された稟議書が出力される。業務効率を考えたら、まさに革命だ。

 ちなみに、出力途中、導入費用部分でいきなり止まってしまった。ChatGPTではよくあることで、そんな時は「続きを書いて」と入力すればいい。即、続きの出力が始まる。また、指示していないのに、英語で回答が始まることもあるが、その時も、「日本語で書いて」と指示すればいい。

稟議書が瞬時に作成される。出力が止まっても、続きをお願いすればいい
稟議書が瞬時に作成される。出力が止まっても、続きをお願いすればいい

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