自由民主党(自民党)のデジタル社会推進本部は3月22日、AI関連の政策提言をまとめる「AIホワイトペーパー」の骨子を公開した。「ChatGPT」の登場で「AIをめぐる社会状況は一変した」としたうえで、新たなAI国家戦略の策定などを提言する。具体的な内容は3月27日週中に取りまとめる。
提言では、大規模言語モデル(LLM)の独自開発に乗り出した英国を引き合いに、ChatGPTに匹敵する国産AIモデルの検討を含め、国内のAI開発基盤の育成・強化支援などについて盛り込む。
自民党の「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」で事務局長を務める衆議院議員の塩崎彰久氏は、国産AIモデルについて「LLMモデルを自前で作るには膨大な計算資源や人材が必要。どれくらいの時間軸になるのかも含めて検討する必要がある」と述べた。
また「海外のAIを使ったほうが早いのではないか、あるいは日本のAI産業を支える人材が無くなっても良いのかという議論もある。提言には短期と中長期、両方の視点を盛り込む」(塩崎氏)とした。
提言には、研究機関や民間企業などが計算資源に容易にアクセスできるようにするための環境整備も盛り込む。塩崎議員は「(LLMの登場などによって)1回の学習に必要な計算資源が増えた」とし、計算資源の重要性を説明した。また、日本語が弱いとされるデータ資源の集積や連携についても、公共データの取り扱いなどを含めて提言するという。
さらに、行政サービスにおけるAIの利活用についても提言する。塩崎議員は「公務員の働きすぎが問題になって久しい。AIは業務の効率化と行政サービスの質を両立させる一歩になる」と意気込んだ。
また、AI規制のあり方についても提言するという。EUや米国では差別、安全保障、民主主義といった観点でAIのリスクが認識されているといい、諸外国の取り組みなども参考に提言をまとめる。一方で塩崎議員は「『日本の伝統的産業が破壊されるからAIを規制しよう』という話に我々はしない」とも付け加えた。
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