ユーザーが入力する文章のことをプロンプトという。このプロンプトを工夫すると、いろいろなことができる。「CRMを説明して」でわかりにくかったら、「CRMを子供にもわかるように説明して」とすれば、そのような回答が返ってくる。実際、子供に説明することはないだろうが、自分が深く理解したり、部下に教えるときの参考になる。
ChatGPTは2021年9月までの情報しか持っていないので、最新情報を聞いても答えることはできない。また、日本語の情報も少な目で、数字の情報も間違えることが多い。ChatGPTは検索サービスというわけではないのだ。このことを理解したうえで、プロンプトを構築することが重要だ。
ポイントがずれた回答が返ってくる場合は、ChatGPTに適していない質問をしていることが多い。部下にきちんとした指示を出せる人であれば、ChatGPTを使いこなせるはず。タスクを依頼する時には、目的や指示を明確にして、適切なフィードバックを返すことが重要。これはChatGPTでも同じことだ。
適切なプロンプトを入力できれば、やり手のコンサルタントと話しているように、壁打ちができる。新規事業についての評価やアクションプランなども余裕で作ってくれるのだ。微妙な距離感の相手に送るメールの文章も、正直にプロンプトを書けば、きちんと考えてくれる。謝罪文章を書くのは心がすり減るが、だからこそChatGPTに書いてもらえばいい、という意見もあり、大きな声では言えないが、素晴らしい活用法だと感心した。
たとえば、「CRMについて教えて」よりも「中小企業にとってCRMが重要であることについてブログを書いてください」の方がはるかに充実した文章が返ってくる。
また、面接の練習をしたいなら、「あなたは面接官として考えてください。私が応募してきた候補者として、面接してください。質問は一つずつしてください。私の最初の発言は、『こんにちは』です」と入力すればいい。ChatGPTが面接官となって、いろいろと返してくれるのだ。
試しに、やる気がなさそうに返答して、最後に評価してもらったところ、きちんとアドバイスをしてくれた。本当にChatGPTは言葉の意味を理解していないのか、疑いたくなるほど、人間らしいコメントをしてくれて、驚くこと請け合いだ。
今のところChatGPTが独走状態にあるが、今後さまざまな生成AIが登場してくる。テキストはもちろん、画像や動画、音声なども絡めて、爆発的に進化していくことは間違いない。
昔、Officeが使えない、スマホが使えない、と言っていた人たちもいたが、淘汰されるか対応し、今ではビジネスに必須のツールとなっている。AIもビジネスに欠かせないツールとして、浸透していくことだろう。今後はAIを使うスキルも重要になってくるはず。プログラミングの知識を活用した複雑なプロンプト使いになる必要はない。AIの特性を把握し、ビジネスに使えそうな状況で、地味に活用できる人が、大きな業務改善を実現することだろう。そのためには、1日でも早く、ChatGPTに触ってみることをお勧めする。無料版でも楽しめると思うので、生成AIのインパクトを体感してほしい。
ITライター:柳谷智宣
やなぎや・とものり/1972年12月生まれ。1998年からITライターとして活動しており、ガジェットからBtoB SaaSのレビューまで幅広い領域で執筆する。近年はエッジ、AI、メタバースを追いかけ中。
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