泡盛粕で育てた“藻”はからすみ風味--マイナスをプラスに変える取り組み、AlgaleX CEOインタビュー

 SDGsが注目される昨今において、製造工程で生じる食品の切れ端や残渣(ざんさ)などを別の食品や工業製品などに作り替える「アップサイクル」の動きが少しずつ活発化している。

 そうした中でさらに注目されるのが、そうした未利用廃棄物を付加価値の高いものに作り替える「リジェネラティブ」というキーワードだ。マイナスをゼロにするのではなく、マイナスをプラスに変える――そうした取り組みをしているのが、沖縄県うるま市に拠点を構えるAlgaleXだ。

 同社は、「藻」に泡盛粕を食べさせることで、付加価値の高い「DHA(ドコサヘキサエン酸)」などの栄養素をふんだんに含むだけでなく、からすみ粉に似た味わいの“スーパーフード”作りをしている。AlgaleX CEOの高田大地氏に話を聞いた。

天然魚に依存する養殖ビジネスは続かない--“藻”に着目した背景

 高田氏が「藻(微細藻類)」に着目したのは、AlgaleX創業以前に総合商社に勤めていたときのことだった。

 「もともと総合商社で養殖魚の餌になる魚粉と魚油を南米から輸入するチームにいたのだが、そこで養殖魚は天然魚(=魚粉)を食べて育っているという事実を知った。しかもその天然魚から作られる魚粉に、最大の輸出国であるペルーが、2014年に不漁を理由にして輸出規制をかけるということがあった。それをきっかけとして、天然魚に依存する養殖ビジネスは続かないと痛感した。魚と同じ栄養素を供給する新しい何かを作らないと、養殖ビジネスはもちろんこと、天然魚の持続可能性もないと考えている。そこで着目したのが微細藻類だった。微細藻類は、DHAとタンパク質をはじめとした魚が必要とする栄養素をすべて兼ね備えている」(高田氏)

AlgaleX CEOの高田大地氏
AlgaleX CEOの高田大地氏

 創業するためには、テクノロジーを持つ研究者が必要だが、その研究者が、現在AlgaleXのCTOを務める多田清志氏だ。

 「仕事を通じて多田と知り合ったが、彼は藻類や微生物を使って未利用資源を価値化する研究を長年続けてきた本当のプロフェッショナルだ。ピュアな思いで自分の研究を社会に還元したいという思いに燃える彼なら、一緒にやっていけると思った」(高田氏)

 残すはどこで創業するか。藻類や微生物を培養するためには、特別な技術に加えて特別な設備が必要になる。そこで特殊設備を探していたところ、沖縄県うるま市にある「沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター」に大きなプラントがあることが分かった。

 「実際に訪問すると、まさにスタートを切るには最高の場所であると確信した。それが縁で、沖縄県うるま市に拠点を構えることになった」と高田氏は語る。

 「アミノ酸が豊富な未利用資源であれば何でも使えるのが当社の技術なので、通年で出てくるビール酵母や泡盛粕など各種原料を試してみた。一般的に藻は、そのものだとあまり食べやすいものではないのだが、泡盛粕を使って育てた当社の藻は、単体で濃厚なからすみ粉のような香り高いものになった。ほかの原料ではこのおいしさを再現するのが難しかったので、原料を泡盛粕に絞り込むことにした」(高田氏)

 こうして誕生したのが「Umamo(うまも)」だ。Umamoの元となる微細藻類のオーランチオキトリウムは光合成をするタイプではなく、周りの栄養素を吸収して育つタイプで、機能性食品素材として有名なドコサヘキサエン酸(DHA)を効率的に産生・蓄積する特徴を持っている。

 「オーランチオキトリウムをどのような餌で育てても、脂質、特にオメガ3系の脂肪酸が多いという特徴は変わらない。しかし育った環境や食べた餌によって味や香りが大きく変わるのがこの藻の特徴だ。そういった意味で泡盛粕がベストフィットした」(高田氏)

 UmamoはDHAなどが豊富に入っており、からすみ粉に似た味に仕上がっているため、サプリメントとうま味調味料の2つのラインへ展開していく。

 「Umamoは健康成分とうま味を豊富に含んだスーパーフードなので、まずは『健康』という部分を切り出したサプリメントとして売り出していく。『豊富なうま味』を切り出した部分では現在一部のレストランにUmamoそのものを販売しているだけでなく、自社商品としてUmamoの風味を生かしたUmamo醤油などをこれから販売していく。『おいしさを妥協しないヘルシー商品』をベースコンセプトに、Umamoの旨味と機能性を生かしたラインアップを拡充していこうと考えている」(高田氏)

 こうして2月24日に発売したのが自然派植物性サプリメント「Umamo Omega-3 Special(ウマモ オメガ-3 スペシャル)」だ。

AlgaleXが2月24日に発売した自然派植物性サプリメント「Umamo Omega-3 Special(ウマモ オメガ-3 スペシャル)」(180錠(約1カ月分)入りで単品購入の場合1万2500円/定期便の場合は初回7500円、2回目以降9800円)
AlgaleXが2月24日に発売した自然派植物性サプリメント「Umamo Omega-3 Special(ウマモ オメガ-3 スペシャル)」(180錠(約1カ月分)入りで単品購入の場合1万2500円/定期便の場合は初回7500円、2回目以降9800円)

 一般的なDHAサプリは魚から抽出した油から作られるが、単純抽出しただけの魚油はDHA濃度が低いことに加えて、重金属の危険性があるため、そこから濃縮精製が必要になる。「一方で、Umamoの場合はもともとDHA濃度が高いため、素材としてUmamoを入れるだけでサプリメントになる」(高田氏)という。

 「Umamo Omega-3 SpecialはUmamoの栄養素を植物性のオメガ3であるエゴマオイルやアマニオイルで包み込んだサプリメントなので、ビーガンの方やナチュラル志向の方に向けた商品になっている」(高田氏)

 うま味調味料としては、Umamoで取っただしを合わせた「だし醤油」を開発中だ。価格の相場としては「クラフト感のある醤油の相場があるので、そのレンジに収めていきたい」と高田氏は語る。

 Umamoは、生産量が限られているので、自社商品とレストラン向けに限定して当面は販売していく予定だが、そのポテンシャルはかなり高いと高田氏は自信を見せる。

 「先日、うるま市の食材を使った『うるまスープすーぷ』というスープ対決の大会があり、当社のUmamoを使った『ビーガンスープカレー』が優勝した。また、アンチョビの代わりにUmamoを使うとバーニャカウダそっくりの味を再現できるなど、魚介風の旨味としてのポテンシャルは高い。この味を『植物性』で再現できるのはUmamo以外にないと思っている」(高田氏)

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