その理由はさまざまだが、そのすべての理由に、折りたたみ式スマートフォンに取り組む企業が直面している課題が反映されている。価格は手頃な水準まで下げなければならないし、本体は、ユーザーが毎日安心して使えるだけの耐久性を備えなければならない。
さらに、モバイルデバイスの使い勝手を大幅に改善して、価値を実感できるような、有用性の高い機能も提供する必要がある。現在の折りたたみ式デバイスは、閉じたときに本体をよりコンパクトにできるさまざまなデザインを備えているものの、全体的な体験は通常のスマートフォンを使う場合と変わらない。サムスンは「フレックスモード」という機能によって、この問題に対処しようとしている。フレックスモードは、本体を半分まで折りたたんだときに、対応アプリをディスプレイの上部と下部に分割する。だが、これはスマートフォンの全く新しい使い方というよりも、最適化に近いように感じられる。
「折りたたみ式のスマートフォンは、平板のような形状のスマートフォンのコンセプトとそれほど変わらない」とMenezes氏。「本体を開けば、後の操作は、これまでと同じようにスクロールして各種アプリケーションや画面、タブに移動するだけだ」
Motorolaやサムスンのような企業が近い将来、巻き取り式スマートフォンを発売したとしても、すぐには購入しない方がいいだろう。第1世代の製品は高価で、損傷しやすく、後の世代の製品ほど洗練されていない傾向にある。
例えば、2019年の「Galaxy Fold」について考えてみよう。サムスンは、少数のレビュアーがディスプレイの問題を報告したことを受けて、Galaxy Foldの発売を延期した。また、このスマートフォンの価格は1979.99ドルだったが、大幅に改良されたGalaxy Z Fold4(2022年8月に発売)は1799.99ドルからとなっている。サムスンのより小型の折りたたみスマホである「Galaxy Z Flip」も成長を遂げている。最初のバージョンは、外側の超小型ディスプレイがあまり便利さを感じさせるものではなく、5Gに対応してもいなかった。
Galaxy Foldの発売から3年以上が経過した今、折りたたみ式デバイスの需要は伸び始めている。IDCのレポートによると、スマートフォン市場における折りたたみ式デバイスのシェアは微々たるものだが、2022年の出荷台数は前年比で66.6%増加したと推定されている。The NPD Groupの「Connected Intelligence Mobility」調査でも、関心の高まりを示唆している。米CNETに共有してくれた調査のデータによると、2019年に折りたたみ式スマートフォンを購入するつもりは全くないと述べた回答者の割合は51%だったが、2022年には、その割合が36%まで減少したという。
「これこそが未来であり、それを否定することはできないだろう」とAkyuz氏は語った。「だが、折りたたみ式デバイスの分野で見てきたように、その未来にたどり着くには少し時間がかかるというだけのことだ」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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