本田技研工業(ホンダ)は2月2日、日米で2024年に発売する乗用FCEV(燃料電池車)に、GMと共同開発した第2世代燃料電池システムを搭載すると発表した。現行の第1世代と比較してコストは3分の1以下、耐久性は2倍以上で、耐低温性も大幅に向上させたという。
コスト削減は、触媒に用いる白金の大幅な削減やスタックの構造簡素化などで実現したという。同燃料電池を搭載する新型FCEVは、SUVの「CR-V」がベースとなる。短時間の燃料充填で長距離を走破できる燃料電池の特性に加え、家庭で充電できるプラグインEV機能も備える。
燃料電池モジュールの外販も2020年代半ばに開始する。当初は年間2000基程度を想定し、2030年に年間6万基、2030年代後半に年間数十万基の販売を目指すという。
ホンダで水素事業開発部長を務める長谷部哲也氏は、2030年における外販の規模感について「商用車の電動化ではバッテリーEV(BEV)とFCEVの棲み分けが進んでいくが、FCEVは特に中〜大型商用車と親和性が高い。中大型車は現在年間300万台出ていると推察しており、2030年にはそのうち2〜3割が電動化していると想定されるが、そこに私たちの6万台を当てていく。水素化された量に対して2桁パーセント(のシェア)を狙っていく」とした。
加えて、燃料電池を定地電源や建設機械といったクルマ以外の用途に拡大するほか、カーボンニュートラルの実現にも役立てるという。
燃料電池に用いる水素はエネルギー密度が高く、電気との相互の変換が容易で、かつ二酸化炭素(CO2)を排出しない特性がある。これを活用することで、季節や天候による変動が大きい太陽光や風力発電のブレを吸収できる。定置電源への活用については「燃料電池を数十基単位で接続すればメガワット級の高出力化も可能」と長谷部氏は意気込む。
また同社は、第2世代と比較してコストをさらに半減させた燃料電池の実用化にも取り組む。2030年代までに、現行のディーゼルエンジンと同等の使い勝手とトータルコストを実現させることが目標だという。本格的な水素社会の到来に向けて、エコシステムの構築にも他社と連携して取り組むとした。
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