日本ガイシとリコーは2月1日、2社による電力事業に関する合弁会社「NR-Power Lab株式会社(NR-Power Lab)」の事業を、同日より開始したと発表した。
NR-Power Labは、愛知県名古屋市千種区の名古屋医工連携インキュベータ内に会社を構える。代表取締役社長には、中西祐一氏が就任し、事業開始時の従業員は11名。事業開発と技術開発チームで構成する。資本金は4000万円で、出資比率は日本ガイシが51%、リコーが49%となる。
合弁会社を立ち上げた経緯について、NR-Power Lab 代表取締役の中西祐一氏は「電力マーケットは再生可能エネルギーの導入により日々大きく変わっている。提携や実証実験ではなく、一体の組織として専任のスタッフを置き対応していくことで、スピード感を確保したかった。加えて両社へのシナジー効果も期待している。異なる企業同士の人材が同じ釜の飯を食いながら、技術とノウハウを共有し、新しい変化を起こしたい」とコメントした。
NR-Power Labでは、日本ガイシが保有する電力貯蔵用「NAS電池」と亜鉛二次電池「ZNB」など蓄電池の制御技術と、リコーが保有するデジタル技術を活用した再生可能エネルギー流通記録プラットフォームを組み合わせることで、カーボンニュートラル達成に向けた再エネの普及拡大のためのサービスを提供するという。
具体的な目標として、「仮想発電所(VPP)サービス」と「電力デジタルサービス」の早期事業化を予定。VPPは、再生可能エネルギーの発電量や蓄電池への充放電、施設や家庭などの電力消費など、さまざまなエネルギーリソースをデジタル技術で統合制御し、あたかも1つの発電所のように機能させること。
これにより、電力の需給バランスを包括的に調整し、季節や天候により発電量が左右される再エネの、安定的かつ効率的な利用に寄与するサービスを提供するとともに、電力の需給ギャップをなくすための電源(調整力)を取引する、需給調整市場への調整力供出も検討するとしている。
電力デジタルサービスについては、ブロックチェーン技術などのデジタル技術や、IoT技術によって得られる電力に係るデータを活用し、付加価値をより高めた新しい電力サービスを提供する予定。省エネ設備やエネルギーマネジメント、太陽光発電設備の運営保守などのソリューションの提供を通じて、地域や企業の脱炭素化や再エネ導入の促進に取り組む考えだ。
中西氏は「社名であるNR-Power Labは、日本ガイシとリコーという2社の強みを融合して進みたい、カーボンニュートラルを加速したいという思いを込めてつけた。ラボはビジネスモデルの開発を意味しており、事業化した際にはラボ部分はなくす。事業化については、3年後をめどに考えている」とした。
VPP事業においては後発参入になるが「いわゆるゼロから開発する必要がないことは強み。先行する各社がVPPで苦しんでいるポイントの1つはリソースの確保。私たちは地域新電力や需要家などリソースを確保していること、地に足のついた営業網をもっていることなどが成功の鍵になると考えている」(中西氏)とNR-Power Labとしての強みをアピールした。
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