「iPhone 14」の衛星通信機能が巻き起こす2023年のスマホ大潮流 - (page 2)

David Lumb (CNET News) 翻訳校正: 編集部2023年02月03日 07時30分

衛星通信をめぐる各社の動き

 2023年1月初め、Qualcommは衛星経由でテキストメッセージを送受信できるソリューションをAndroid端末向けに提供すると発表した。この機能はIridiumの衛星ネットワークを使用したもので、Qualcommによれば、Appleと異なり、世界のどこからでも緊急メッセージを送受信できるようになるという。

Iridiumの衛星カバレッジを示す画像 提供:Iridium

 「Snapdragon Satellite」と呼ばれるこのソリューションは、当初は緊急SOSにしか使えないが、将来的には一般的なメッセージやデータのやり取りにも利用できるようになる見込みだ。ただし、利用にはおそらく有料サービスへの加入が必要になるだろう。Snapdragon Satelliteはまだ提供されていないが、Qualcommの最新の高性能チップを採用し、2023年後半に発売されるスマートフォンに搭載されるとみられている。ただし、この機能をすべての機種に搭載するか、有料サービスとするかは各メーカーの判断に委ねられているため、未知数の部分が多い。

 衛星通信市場には、独自のニッチなデバイスを展開する中小規模のプレーヤーも存在する。例えばBullitt Groupは、テクノロジー見本市「CES 2023」でMediaTek製チップセットと堅牢なデザインを採用した新型スマートフォンを発表した。2023年第1四半期にMotorolaブランドから発売される予定だ(価格は未定)。Bullittは双方向の衛星通信をパートナーであるSkyloを通じて実現しようとしている。Skyloは、他社の衛星通信の帯域を借りて接続サービスを提供している企業だ。中国の華為技術(ファーウェイ)は、実はAppleのiPhone 14よりも1日早く、衛星通信に対応したスマートフォン「Mate 50」シリーズを発売している。この衛星通信は、中国の衛星ネットワーク「北斗」のサービスを利用することで実現したものだ。ただし、ファーウェイの製品は年々、利用可能な地域が狭まっている。

 今後も新しいスマートフォンが登場し、さまざまなアプローチで衛星通信を実現するだろう。米大手通信事業者はいずれも外部の衛星サービス事業者と提携し、圏外でもユーザーがモバイルサービスを利用できる体制を整えようとしている。しかし、具体的なサービス開始日を発表している企業はまだない。

 アナリストによれば、多くの企業が衛星を利用したセーフティネットをサービスとして提供することに商機を見出しており、競争は激化しているという。Appleは、このサービスを既存のサブスクリプションサービス、例えば月額約7ドル(同900円)の「Apple TV+」、月額約10ドル(同1080円)の「Apple Music」、または複数のサービスをまとめた約17ドル(同1200円)の「Apple One」に簡単に追加できるだろう。通信事業者は、安心のためなら料金を余分に払うこともいとわないリスクを嫌う層に、高額なサブスクリプションプランを売り込むための手段として、衛星通信機能を利用することもできる。「ゴビ砂漠やデスバレー国立公園、アディロンダックの山中でガス欠に見舞われたときに、誰かに連絡を取ることの重要性はいくら強調してもしきれない」と、TechsponentialのGreengart氏は言う。

iPhone14の衛星通信画面
提供:Kevin Heinz/CNET

 スマートフォン業界では新しい技術が常に成功を収めてきたわけではない。例えば、ここ数年、世間を騒がせてきた5Gワイヤレスへの移行は、アナリストの間では期待外れに終わったと評価されている。その大きな理由は、サービスの提供範囲が狭かったこと、すでに何年も使われている4G LTEサービスと比べて、必ずしも高速な接続を実現できなかったことにある。

 衛星通信は、そもそも衛星を利用できなければ実現できず、また大量のSOSメッセージを処理した実績もないため、5Gよりも道のりは険しくなるかもしれない。

 しかし初期の兆候を見る限り、前途は有望と言えそうだ。QualcommはCES 2023で記者向けにSnapdragon Satelliteのデモを実施し、成功させた。米CNETのPatrick Holland記者は、iPhone 14で緊急SOS機能をテストし、正しく機能することを確認している。この機能は、iPhone 14の「設定」から「緊急SOS」を選択し、「デモを試す」をタップすれば、誰でも試すことができる。デモでは実際に緊急通報サービスに連絡がいくことはない。

 衛星を利用してモバイルネットワークを強化し、人とのつながりを保つ――これがスマートフォンの次の注目領域となりそうだ。ほとんどの人は、この機能が必要となるような不幸には見舞われない。それでも、この機能はセーフティネットとして機能し、スマートフォンが使えない場所で冒険家を助けてくれるだけでなく、災害が起きてモバイルネットワークが故障した際には、被災者の支援にも役立つ。

 実際、アラスカでは、iPhoneユーザーがスノーモービルで移動中に立ち往生した際、衛星経由の緊急SOSのおかげで救助隊によって発見された。また、カリフォルニア州では、車が道路を外れて谷に滑り落ちる交通事故が起きた際、iPhone 14が事故を検出し、衛星回線を利用してテキストメッセージ経由で被害者を中継センターにつなぎ、その後、センターが被害者の代わりに救助を要請した。

 携帯電話の電波が届かない地域を安全に冒険するために、かさばる衛星電話を買わなければならない時代は終わった。遠からず、森の中で道に迷ったとき、あるいは危険な島で恐竜に襲われたときには、多くの人がスマートフォンで助けを呼べるようになるだろう。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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