Appleは「iPhone 14」シリーズにおいて、衛星経由で緊急通報が行えるサービスの提供を2022年11月15日より米国とカナダで開始したと発表した。実は筆者はたまたまハワイに来ており、「iPhone 14 Pro」でいち早く衛星通信を試すことに成功した。
iPhoneの設定メニューを開くと「緊急SOS」という項目が存在する。その下の方にスクロールしていくと「衛星経由の緊急SOS」というメニューが出てくる。そこには「デモを試す」というボタンがあり、タッチすると衛星通信接続がオンになる。
実際にオンにすると、デモ中はモバイルデータ通信は一時的にオフとなり、衛星通信のみが使えるようになる。
「衛星通信接続をテストする」という項目を選ぶと、iPhoneが衛星を探しに行くようになる。
まず、衛星を捉えるには「空に雲がかかっていない場所に移動してください」という表示が出てくる。ということは晴天でなければ衛星をつかめないし、登山中、吹雪のなかで緊急SOSを呼ぶというのは難しいのかも知れない。幸い、ハワイの天候は晴れであったので、衛星をつかむことが可能であった。
ただし、屋外でiPhoneを空に向けたものの、実際に衛星をつかむには4分ほど待たされた。これはGlobalstarの衛星が24個ほどしかなく、必ずしも常時、上空に衛星が飛んでいるとは限らないようだ。
iPhoneが賢いのは、左右、どの方向にiPhoneを向ければ衛星をつかみやすいかというのを教えてくれる点だ。あらかじめ、衛星がどの位置に飛んでいるのか、iPhoneが理解しているのだろう。
4分後に衛星につながると、「現在地を教えてください」というメッセージが飛んでくる。その後、「どういったトラブルなのか」「原因はなんなのか」「ガスやその他の液体漏れは起きていないのか」と聞かれる。
衛星との通信は転送できる容量が限られており、できるだけ短い文字量、さらにそれらを圧縮して送受信している。そのため、無駄がないよう会話形式でコンパクトに緊急SOSメッセージを送る仕組みとなっているようだ。
驚いたのがすでに日本語に対応している点だ。いまのところ、米国とカナダのみのサービスにもかかわらず、日本語設定がされているiPhoneであれば、日本でやりとりできるようになっている。ひょっとすると日本で緊急SOSメッセージが送れる日も近いのかも知れない。
現在、日本では災害時や通信障害が発生した際に緊急通報ができるようにローミングを提供しようという議論が進んでいる。一方で、既存のネットワークに依存しない緊急通報を実現しようという話もある。
そんなか、iPhone 14による緊急SOSメッセージという仕組みは、自然災害が多い日本で是非とも早急に導入して欲しいサービスと言えそうだ。
(この記事はUchuBizからの転載です)
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