東急不動産は1月26日、首都圏の1都3県で初をうたう、全戸分の自走式平置き駐車場にEV充電器を設置した分譲マンション「ブランズ上目黒諏訪山」を報道公開した。
東急東横線、東京メトロ日比谷線の中目黒駅至近の高級住宅街「諏訪山」に立地する同物件には、全19戸分の駐車場全区画にEV充電器が設置されている。
充電器は急速充電には非対応で、100Vと200Vのコンセント穴が1つずつ配置されている。充電ケーブルは付いておらず、車載のケーブルをコンセントに挿して充電することになる。
東急不動産によると、当初はケーブル付きの200V充電器の設置を検討していた。しかし、欧州の高級EVを中心に100Vで充電する車種が存在することや、EVが今後どのような発展するか現時点では見通せないことなどから、一番汎用性の高いシンプルな方式を選んだという。充電器は日東工業(愛知県長久手市)製で、満充電で自動停止する過充電防止機能も備えている。
駐車場の利用料金は月額4万円前後で、EV充電器を利用する場合、電力の使用量によらず5000円の定額料金が上乗せされる。なお、充電器自体には使用量メーターが備わっており、管理組合の意思に応じて、従量課金に変更するなどの柔軟な運用も行える。
同物件は2021年後半に販売を開始して以降、全19戸のうち18件が販売済となっている。全戸平均で150平米以上と広い間取りが特徴で、2LDKの一番狭い間取りでも127平米、3LDKの一番広い間取りで188平米となる。開発の計画段階だった2020年前半には、同物件が立地する東京都目黒区内では平均150平米超のマンションは存在しなかったといい、担当者は同物件の希少性をアピールする。
立地や間取りの広さから、富裕層向けの物件であり、坪単価は800万円超。1戸あたりの販売価格は3〜5億円で、ボリュームゾーンは4〜4億5000万円だという。購入者は主に会社役員や経営者で、投資よりも実需の引き合いが強かったと担当者は話す。
全戸分のEV充電器の設置に踏み切った背景としては、日本でもカーボンニュートラルに向けてEVの普及が進んでいる点が挙げられるという。従来のマンションはEV充電器などが少ないなどの課題があったが、同物件では気兼ねなくEVを利用できるようにした。
カーボンニュートラルの観点ではEV以外にも仕掛けを設けた。例えば共用部の暖炉には、バイオエタノール不要で、二酸化炭素排出量を抑えられる水蒸気式の暖炉を採用している。水を蒸発させた湯気に照明を当てることで、リアルな炎の揺らぎも再現している。このほか、住人が立ち入れない屋上部分にも緑化を施している。
東急不動産はこのほか、今後開発する分譲マンション「BRANZ」や高級賃貸マンション「COMFORIA」、学生向け賃貸マンション「CAMPUS VILLAGE」の全物件に太陽光パネルを標準搭載させると表明している。
さらに、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを活用した発電所のさらなる開発に取り組むなど、環境への取り組みを強化しているという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」