NTT西日本は2022年10月に、NTT、NTTデータ、京阪ホールディングスと検討を開始した大阪の京橋エリアでの「AIを活用したまちづくり」の取り組みとして、1月23日より実証実験を開始することを発表した。
内容は大きく2つあり、1つ目は、スマートシティの実現において課題となるセンサーやカメラ類を設置することなく、センサーレスで街のデータを可視化・分析することで、NTT西日本が独自に開発したまちの分析・可視化・未来予測プラットフォーム「みんなのまちAI」を利用する。2つ目は、NTTとNTTデータが開発中のアプリ「みんなのスマートシティ(みんスマ)」を利用し、参加者が楽しみながら自分事としてまちづくりに参加できる仕組みとその効果を検証する。期間は3月20日まで。
みんなのまちAIは、インフラや建物、人流などのオープンデータを、多様な形式で保持する中央ストレージリポジトリであるデータレイクへリアルタイムに蓄積し、可視化するシステムである。特徴の一つに独自アルゴリズムによる分析評価があり、ほぼリアルタイムに収集されたデータを元に分析、表示することができる。その結果、街にいる人が今どこで何をしているのかがわかるという。
そのほかにも、年齢や性別などによる街の住みやすさを評価して、ポイントやグラフでわかりやすく可視化するなど、さまざまな使い方ができる。ダッシュボードを使って、データを簡単な操作で直感的に可視化できるので、データアナリストのような専門知識なしでも、街の状態がわかるようになる。さらにミニアプリと呼ばれるアプリケーションを使った、多種多様な連携も可能だ。
みんスマは、クエスト、すれ違い、クーポンという3つの機能があり、アプリは無料で誰でも利用できる。今回の実証実験では、みんスマで提案されるクエストに参加して、情報を投稿したり、すれ違いの回数に応じてクーポンが獲得できるようにし、街の魅力を高められるかを検証する。例えば、クエストの情報と人流、建物情報を組み合わせて、どのような効果があったか分析し、その結果を街の活性化や魅力づくりにフィードバックする。
今回の実証実験では、京橋地区商店街連絡協議会がクエストの企画やクーポンなどの提供で、Intelligence Designが店舗内の詳細な人流データやカメラ画像をAIで解析する技術の提供でそれぞれ協力する。
NTT西日本イノベーション戦略室課長の馬場智史氏は、「みんスマの基本的な機能は、既存のアプリでも同じようなものがあるかもしれないが、収集したリアルタイムの情報をみんなのまちAIに取り込めることが特徴だ」としている。アプリの情報を元により精度の高い予測を行い、その結果を次のクエストにフィードバックさせることで、さらに街の活性化につなげていく。
NTT西日本イノベーション戦略室課長の早河力氏は、現在のところみんなのまちAIの予測精度は80〜90%だが、データの蓄積が増えれば精度はさらに上げられるという。また、開発の目的は「予算がない街でも簡単にセンサーレスでスマートシティを実現できるようにすることで、ウェブサイトからログインするだけで使えるようにした」と説明する。主な利用者は自治体を想定しており、データの解析もわかりやすく、直感的に使えるものにするよう工夫されている。
今回の実証実験は京橋エリア東京の八日京(八重洲、日本橋、京橋)と千葉の幕張エリアでも行われ、クエストの配信を開始する。それらの結果は、終了後に発表の機会が設けられるということで、3カ月という短期間でAIを使った街の活性化がどのような効果を発揮するのか注目したい。
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