東芝データ、東芝テック、サッポロホールディングスの3社は12月21日、料理に関する一連の体験をシームレスにつないだフードテックサービスの構築を目指し、スマートフォン向けアプリ「うちれぴ」と電子レシートサービス「スマートレシート」の連携によるサービスを、12月13日より開始したと発表した。
うちれぴは、サッポロホールディングスが運営し、食品メーカー約30社による約2万件のこだわりのレシピを掲載するスマートフォン向けアプリ。「ごはんトーク」機能で、今日のごはんの準備や感想を家族で共有できるほか、「うちれぴ帳」に日々のごはんを思い出としても記録できる。
スマートレシートは、東芝テックが開発・運営し、東芝データが運営を支援している電子レシートサービス。アプリの「ホーム」画面に表示されたバーコードを、会計の際に提示するだけで、レシートを電子化できるのが特徴。
また、レシートは電子レシートセンターでデータとして管理・提供され、手元に紙のレシートを残さなくても、スマートフォンを利用して購入履歴が確認できる。導入店舗にとっても、紙レシートの発行コストや環境負荷を減らせるというメリットがある。
今回の機能では、利用者がサービス間連携を許可することで、スマートレシートから対応するスーパーマーケットなどでの買い物情報をうちれぴが自動で取得。今ある食材で作ることができるレシピを提案するサービスを提供する。
今日のごはんとして登録・調理されたレシピに応じて、使用した食材が在庫情報から自動消去されるといった機能も実装している。ただし、食材の管理は1か0の判定となっており、大容量のパックを購入したケースなど残量までは管理しない。
家にある食材からつくれるレシピを提案する「ベータ版うちれぴ」の実証実験では、一週間あたりのアプリ起動ユーザーは1万人を達成。「家にあるものでつくれるので悩まない」「冷蔵庫がスッキリすると気持ちがいい」と好評を得た一方で、食材在庫管理機能には手動管理すると継続のハードルがあり、改善の余地があったと説明する。そうした声をもとに自動化を検討し、正式版アプリに実装したという。
また、うちれぴの正式版アプリローンチ時(2022年7月)から、シャープの調理家電との連携も実施している。うちれぴで選んだレシピを、シャープの提供するクラウドレシピサービス「COCORO KITCHEN」を介して、水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」やウォーターオーブン「ヘルシオ」といった調理家電に送信し、スムーズな調理が行える。
シャープSmart Appliances&Solutions 事業本部 BtoB ソリューション事業統轄部 AIoT 事業推進部 部長の中田尋経氏は、「調理家電をつくっているメーカーとしては、調理をいかにラクにするかはなんとか実現できるが、今日なにをつくるか“決める”ところはやはり課題になっていた。そこの負担をうちれぴで解決し、課題を楽しいものにできるのではないかと思った」と組んだ理由を説明した。
今回の取り組みにより、買い物(東芝テック)、レシピ決め(サッポロ)、調理(シャープ)、食後の記録(サッポロ)――と家庭での料理に関するエコシステムを確立し、より便利で心地よいスマートライフの提供を目指す。
日々の食材の在庫管理をうちれぴで行い、食材を無駄なく使い切ることや、余分な食材の購入防止につなげることで、深刻な社会課題であるフードロス削減に取り組む。
サッポロホールディングス 経営企画部 新規事業準備室 マネージャーの保坂将志氏は、「フードロスの削減は、3社のサービスを連携することによって実現できるのではないか。また、うちれぴは、家族で使うという特徴にフォーカスしている。日本の家庭においては、料理をする人に負担がかかっているが、家族みんなで料理をわかちあい、誰もが料理できる世界を目指している。家にある食材で料理をつくることでフードロスの削減、さらには家族の好き嫌いをなくしていく方向性もある。食品ロスを大きな起点として、ジェンダーレスの実現、好き嫌いの改善は家族の健康を支えていく取り組みにもつながる」とコメントした。
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