ウクライナでは戦争が続いているため、同国の豊かな文化を現地で体験することは難しく、多くの場合は危険を伴う。博物館、歴史的建造物、モニュメント、宗教施設、図書館が攻撃で破壊されたり、損傷したりしている。
こうした現状から、ウクライナの芸術、文化、遺産といった広範な情報をオンラインで紹介する新たなショーケースは、一層重要になっている。観光がほぼ不可能な今、世界の美術館や博物館の所蔵作品を鑑賞できるGoogleのサービス「Arts & Culture」の中に新設された「Ukraine Is Here」は、世界のどこからでも、ウクライナの豊かな文化に没入できるようにするものだ。
ウクライナの芸術、建築、音楽、演劇、歴史的建造物、国立公園が、動画、バーチャルギャラリー、没入感のある360度の拡張現実(AR)ツアー、3Dモデル、開戦前に集められた「ストリートビュー」画像などの形式で1カ所にまとめられ、生き生きと再現されている。
例えば、首都キーウに位置し、大統領や外交官の公式式典が行われるアールヌーボー様式のユニークな邸宅である「怪物屋敷」を、画像ギャラリーのツアーで見て回れる。同国内でユネスコ世界遺産に登録された4カ所をまとめたサイトでは、11世紀に建てられた聖ソフィア大聖堂を訪れ、ビザンチン様式とウクライナ・バロック様式の建築や、所蔵された絵画やモザイクを眺めることもできる(ユネスコによると、これまで同国の世界遺産は戦争で損傷していないとみられる)。
首都を離れると、東カルパチア山脈の古代のブナ原生林を一望したり、ウクライナで最も大きく古い樫の木を眺めたりできる。また、ヤレムチェ周辺の高峰を登頂した視点から、絵に描いたような山岳風景を楽しむこともできる。
伝統的な芸術と前衛的な芸術を紹介するバーチャル展示では、ダビド・ブルリュークが20世紀初頭に制作した寓話的作品「Time」が高解像度画像で公開されており、スクロールして動かしたり細部を拡大したりしながら鑑賞できる。この絵はウクライナのドニプロペトロウシク美術館に所蔵されている。
同国の民族衣装や装飾品について学んだり、民族音楽を聞いたりすることもできる。
Ukraine Is Hereのパートナーには、ウクライナ文化情報政策省、ウクライナ国立美術館、ウクライナ演劇・音楽・映画博物館が名を連ねる。また、Olena Zelenska大統領夫人も支援に加わっている。
同氏は声明で次のように述べている。「私たちの文化は、私たちだけのものではない。これは文明世界全体の遺産だ。一国がその文化的価値を失えば、世界全体が失うことになる。だから皆で、ウクライナの文化を保存し、増やし、鑑賞し、賞賛し、Googleで検索して、世界を豊かにしよう」
Google Arts & Cultureは、世界中の美術品、芸術品、文化遺産をデジタル化することで、各国の文化が伝わる範囲を広げている。同サービスはウェブのほか、「iOS」版や「Android」版の無料アプリでも利用できる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス