筆者が使用したベータ版では、「I'm Fit and Ready to Dive(ダイビングの準備はできている)」「Press Action Button to Select」の指示のあと、「アクションボタン」を押さずにそのまま潜り続けると「Snorkeling」モードに切り替わってしまう現象が起きた(1回だけではなかった)。
水中で切り替え操作はできないため、水面に戻って設定するしかない。また、今回は無料モードに切り替わる状況だったため、そうなるとiPhoneアプリから再度設定しなおす必要があり、かなり焦った。
製品版でアクションボタンを押さずに潜り続けた場合、どういった動作になるのかはわかり次第お伝えしたい。
特にエントリーしてすぐの潜降時は、海況や手持ちの機材など気を取られることが多いもの。久しぶりのダイビングだったり、ダイビングを始めて間もないときは潜降すること自体が精一杯になることもあるのではないだろうか。せめて途中からでも気がついたら操作できるとよいのだが、この「ワンアクションの壁」を感じた。
もう一つ気になったのが、セーフティファクターの設定だ。もしかするとNDL(無限圧潜水時間)をあまり気にしたことがないという人もいるかもしれないが、ざっくり言うとその水深にどれくらいいられるかを示すもので、設定によって無減圧潜水時間を厳しくしたり甘くしたりもできる。
[Setting]-[Dive Setting]-[Scuba]-[Conservativism]の「Gradient factors」の設定は、デフォルトが0(70/85)になっている。手持ちのTUSAのダイブコンピュータ「IQ1204」(同様に標準設定)と比べて、30m前後以降の深場ではNDLが3~4分厳しく、逆に12~13mでは20分以上(時には30分以上も)も余裕のある時間になることがあった。
「More conservative」となる+1(65/80)にしたほうが安心だが、試した印象では30m前後の深場ではIQ1204と比べてDNLは5~6分ほど短くなった。もし、そうしたダイビングをするときは一緒に潜るチームやガイドなどにあらかじめ「設定がやや厳しいかもしれない」と断っておくのが安心だと感じた。
もう一つ、ダイブ時間がずれたことがあった。5分程度なのに32分以上も潜っていることになっていた。時計が表示されるので、エントリーの時間さえ覚えていればおかしいことに気がつけるが、表示されるNDLに不具合はないのか心配になる一幕でもあった。
なお、ログを見るとトータルの時間は長く記録されているが、「ダイブプロフィール」は潜った通りの時間だった。
筆者は、Apple Watch Series 7からApple Watch Ultraに変更して、毎日の日課だった充電は2日に1回へと変わった。従来に比べて大幅にアップしたバッテリーだが、ダイビングで使用するとどうなるか試してみた。
ある日は朝9時に100%でスタートして、48分と45分の2ダイブをした午後14時11分の段階で63%になっていた。また、翌朝の8時50分には28%になっていたので、2日間連続して潜る場合はあらかじめ充電しておく必要がありそうだ。
ほかの日もダイビングをした日はおおむね一日で大部分を消費していたので、日帰りならば問題はないが、連泊する場合は充電器を持って行くのは必須という印象だ。
Apple Watch Ultraは、GPSモデルのみの設定がなく、標準で携帯電話通信機能が搭載されている。iPhoneを契約している通信会社で、Apple Watch用のモバイルデータ通信プランに契約すると、iPhoneが手元になくても電話をかけたりメッセージを送ったり、緊急電話を発信したりできる。
緊急電話は「警察(110番)」「海上保安庁(118番)」「火事、救急車、救助(119版)」の画面をタップするだけでつながり、位置情報も共有されるという。
海でどこまで通信ができるのか、という懸念点はあるものの、今回石垣島で潜った範囲では、ソフトバンクの携帯電話の電波はほぼ入っていた。
なにかトラブルがおきても、Apple Watch Ultraがあればもしかすると自力で救助を呼べるかもしれない。さらに陸では86デシベルのサイレンを鳴らすこともできるので、居場所を知らせるのにも役立つ。万が一の状況に置かれたときの安心材料になるのは、Apple Watch Ultraならではといえそうだ。
改めてお伝えするが、今回使用したのはベータ版だ。ダイブコンピューターは、命にもかかわってくる装備なので、製品版を使用した上で慎重に評価したい。
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