米連邦通信委員会(FCC)は米国時間11月25日、国家安全保障上の懸念を理由に、華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)など複数の中国企業の通信機器およびビデオ監視機器について、輸入や販売の許可を与えることを禁止すると発表した。
ファーウェイとZTEは、スパイ活動に関与しているとしてこれまでに何度も米政府の規制対象になっている。今回の規制では、海能達通信(ハイテラ)、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ)の3社も対象となる。
「FCCは、信頼性に欠ける通信機器の米国内での使用を承認しないことによって、米国の国家安全保障を守ることに尽力しており、今回の措置においてもこの取り組みを続行している」と、FCCのJessica Rosenworcel委員長は発表の中で述べ、「新しい規則は、通信に関わる国家安全保障上の脅威から米国民を保護するための、われわれの継続的な活動の重要な要素だ」とした。
今回の規制の背景として、米国は中国の技術的影響という課題に取り組んでおり、米議員らは中国に対する懸念を以前にも増して声高に主張している。2019年には、Donald Trump米大統領(当時)の大統領令によって、ファーウェイが商務省産業安全保障局のエンティティリストに追加され、同社と中国政府との密接な関係を理由に、同社製品が米国ネットワークから実質的に排除された。
FCCは2020年、米国のすべてのブロードバンドおよびワイヤレス事業者に対し、ファーウェイやZTEを含む中国メーカーのすべての機器の使用を停止するよう命じ、中国電信(チャイナテレコム)の米国での事業免許を取り消すかを決める手続きを開始した。2022年に入ってからは、さらに多くの中国企業の免許を取り消している。
ファーウェイは、同社製の「Android」搭載スマートフォンにおいて、「Gmail」や「Google Play」ストアなどGoogleのサービスを利用することを禁止された状態が続いている。
FCCのBrendar Carr委員は11月上旬のインタビューで、ショート形式動画アプリ「TikTok」について、運営元である中国企業の字節跳動(バイトダンス)によって個人データや機密データが悪用される恐れがあるため、米議会は同アプリの米国での使用を禁止すべきだとしていた。その根本にあるのは、難しい米中関係だ。中国は国内の企業を支配できる独裁政権下にあり、国外に輸出される技術に影響を与える可能性がある。それと同時に、中国は主要な技術供給源でもあり、「iPhone」やゲーム機「PlayStation 5」など多数の製品の製造を請け負っている。
FCCは今回、4対0の全会一致で禁止措置を採決した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス