テスラのロボット「Optimus」を侮るなかれ--実際に試作機を見た記者が解説 - (page 3)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年10月11日 07時30分

OptimusにはAIが必須

 Optimusは、Teslaの自動車とは異なる課題に直面している。それは、すべての作業にAIが必要であることだ。自動車の場合、Teslaは、人間が操縦する、業界最高レベルの電気自動車を販売した後、自動運転技術を徐々に発展させていくことで、事業を成功させることができる。

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提供:Stephen Shankland/CNET

 人型ロボットでは、最初からAIが機能しなければならない。ロボットの場合、AIの課題はさらに難しいものになる。

 AI技術の現状を簡単に説明しておこう。現在のAIは、限定的で柔軟性に乏しいIFTTT(IF This Then That)形式の命令でコンピューターをプログラミングするのではなく、膨大な量の現実世界データのパターンを認識するようにシステムを訓練して機能する。これにより、AIシステムはより複雑なデータを処理し、より微妙な決定を下すことができる。

 難しいのは、自動運転車が極めて多様な状況に遭遇する可能性があることだ。同じ道路の交差点でも、雨が降っていたり、工事中であったり、立ち往生する自動車で道が塞がれていたりしたら、普段と大きく異なる状況になり得る。

 Tesla AI Dayで出会ったあるエンジニアによると、Teslaはこうした課題を克服するために大規模な投資をしており、毎日、自社の自動車から提供される100TBの動画データを取り込んでいるという。また、さまざまな状況をシミュレーションして、現実世界のデータ以外の状況についても、AIの訓練を強化しているという。

 しかし、ロボットが遭遇する可能性のある状況は、それよりもはるかに多種多様になる。ある家が隣の家とどれだけ違うか考えてみてほしい。それから、それらの家々を店舗や歩道、農場と比べてみると、いかに多様性の規模が違うか分かるだろう。

 しかしながら、Teslaのロボットのデモ動画は、同社のオフィスと研究所という比較的狭い範囲で撮影されていた。また、Musk氏は、同社がまず自社の「Gigafactory」でロボットをテストする計画であることを明かした。そこで、Optimusが十分な訓練データを得て、有効な足がかりを築ける可能性もある。

Optimusロボットを開発する理由

 Musk氏は、Optimusを開発する理由について、やや曖昧な回答をした。SpaceXの目的は人類を火星に移住させることであり、Teslaの電気自動車とバッテリーでは、人類が化石燃料を使わなくなることを目指している。Optimusに関するMusk氏の説明は、もっと日和見的なものに思えた。Teslaには必要な専門知識があるので、やってみようといった具合だ。

 Musk氏は、Optimusが「何百万もの人々を助け」、人間を退屈で危険な反復作業から解放することを望んでいる。同氏は、理想に満ちた目つきで、ロボットが普及すれば、「豊かな未来、貧困のない未来、製品やサービスに関して、人々が自分の望むものを何でも手に入れられる未来が訪れるかもしれない」と語った。「それは、私たちが知るところの文明を本当に一変させるだろう」(同氏)

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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