Musk氏には、困難ではあるが達成可能な事業を選び、挑戦に前向きなエンジニアを見つけ、エンジニアたちに違いを生み出せるような環境を提供する才能がある。
Teslaが自動車業界を揺るがしているのと同じように、Musk氏が創業したSpaceXもロケット事業に極めて大きな影響を及ぼしている。そのSpaceXで働くある人物は、競合他社から誘われたことが何度かあり、それらの企業の仕事は楽そうだったが、実際に何かを成し遂げることはできなかっただろう、と彼女は語った。
私たちはノートPCやスマートフォンに多額を費やしているかもしれないが、Musk氏が模索しているのは新しい領域だ。Musk氏はAI Dayイベントで、「人々はOptimusの最新状況を把握しておくべきだ。他の多くのテクノロジーは停滞している」と語った。
そのメッセージは、筆者がAI Dayで話をしたあるエンジニアの考えと一致していた。このエンジニアは、Optimusの胴体や脚、腕、指を動かす主要なメカニズムであるアクチュエーターの開発に取り組んでいる。以前はBoeingで働いていたが、ロボット工学こそがイノベーションの新しい波だと考えている。
AI Day 2022は、はっきりと、エンジニアの採用イベントとして企画されていた。筆者が話をしたあるエンジニアは、Teslaと直接競合する企業で働いているが、勧誘のメールを受け取ったため、イベントに参加したという。手術用ロボットの開発に携わっている別のエンジニアは、この分野におけるTeslaの取り組みの規模と資金に明らかに感銘を受けていた。TeslaのOptimusを一笑に付している人など1人もいなかった。
AI Dayのステージでは、「Bumble-C」と呼ばれるOptimusの前のバージョンのプロトタイプがすり足で歩いたり、手を振ったり、腕を上げ下げして見せたり、腰の部分で身体を曲げたりしていた。それは、基準によっては地味なパフォーマンスだったが、1年間に満たない取り組みの成果であることも事実だ。何人かのエンジニアがMusk氏と共に壇上に現れ、Optimusに関するこれまでの研究について詳しく説明した。その一部を以下で紹介しよう。
「Teslaのチームはライバルよりもはるかに先を行っており、イノベーションのペースに自信を持っているため、自社の研究を詳しく公開することに不安を感じていない」と、アナリストのFerragu氏は指摘した。
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