「トヨタ生産方式」で新ビジネスを生み出す--ボトムアップ型の事業創出プログラム「B-project」の狙い - (page 3)

藤井涼 (編集部) 藤代格 (編集部) 日沼諭史2022年11月02日 10時00分

成功するのは「初期アイデアに固執しない人」

 B-projectが今の形になって3年、一連の段階をクリアし、事業性検証が進むプロジェクトは3つ(2022年9月現在)。消防の課題、子供の交通安全の課題、障がい者向けの課題解決に起因するプロジェクトとなっており、事業化を目指して推進中である。

 初期段階では本業とのシナジーは重視されない、としていたが、「最終審査までいくと、本業とのシナジーは、やはり求められる。トヨタの強みを最大限に活かせるか、フィロソフィーに合うかどうかが問われることになる」と永田氏。しかし、「トヨタは幅広い領域の事業を手がけているので、できることの幅は広い」のも事実。「トヨタがもつアセットを世の中に活かしていくのは大企業の使命でもある」と藤原氏は付け加える。

 そのように最終段階まで進むような人にはどんな特徴があるのか。永田氏によれば「自分の初期アイデアに固執しない人」だという。「高齢者の移動をサポートしたい、といったアイデアはよくあるが、実際に顧客に話を聞きに行くと、課題の本質は別にあることが分かるケースも多い。そこで自分のアイデアに固執せずピボットできるか、そういう姿勢をもてるかどうかが大事。顧客の声に真摯に耳を傾けられる人は審査の最終段階まで残りやすい」とし、藤原氏も「お客様や上司にいろいろ指摘されて心が折れることも多々ある。それでも諦めずにお客様の課題解決に取り組みたいという信念を持ち続けられる人は審査の最後まで残っている」と続けた。

 社内にB-projectの認知が広がっていくにつれ、「新しいことに挑戦していかなければ、という風土が職場に生まれてきている」という副次的な効果も見えつつある昨今。多くの大企業の実情を把握しているAlphaDriveからトヨタは「圧倒的に行動力がある」との評価も受けている。

 「現場の声を聞く重要性を理解している。人によっては数百人の声を集めるなど熱量は高いものがある。現地現物という考え方、フィロソフィーを全社員が大切にしていると改めて思う」と、永田氏も一人一人のポテンシャルの高さを再認識している。

 「外にもできるだけ発信して、会社がこういう活動をしているということを多くの人に知ってもらいたい。社員が身近な人も取り組んでいることを知れば、“自分もやりたい”と思ってもらえることにもつながる」と、B-projectのさらなる広がりに期待を寄せる藤原氏。トヨタ自動車が手がける新たな挑戦を目にする日を楽しみに待ちたい。

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