「Astro」はまだ発売されない。
Amazonは米国時間9月28日に開催した年次ハードウェアイベントで、表情豊かなかわいいロボット「Astro」のアップデートを発表した。Astroは「Ring」に対応し、「Alexa」と伸縮式ペリスコープカメラを搭載した車輪付きロボットだ。アップデートにより、Astroはペットの様子や、窓やドアが開いたままになっていることを知らせてくれるようになる。
ただし、Astroの一般発売日は発表されなかった。
Amazonは、2021年の年次ハードウェアイベントの最後に突然Astroを発表した。同社はAstroを試験的な製品と考えているため、現在は招待制でのみ1000ドル(約14万5000円)で販売している。同社によると、招待のリクエストは数十万件も寄せられたという。一般発売時の価格は1450ドル(約21万円)になる見込みだ。
Astroは、小売りサービスからEchoシリーズのスマートスピーカーまで、あらゆるものを通じてわれわれの生活に入り込もうとするAmazonの試みの中でも大胆な例だ。また、Amazonの野望(2013年に発表されたドローンサービス「Amazon Prime Air」を覚えているだろうか)を先取りしたかのような最新の例でもある。だが、Astroの技術はあまりにも新しいため、AmazonはAstroの機能を、招待した一部の顧客に自宅で使ってもらいながらリアルタイムで改良し、成長させていくことにした。
Astroは、定期的な屋内パトロール中に、ペットの監視ができるようになる。巡回中に遭遇したペットの写真や動画付きの通知を飼い主に送信する。通知を管理しやすくするため、メッセージの送信は5分間で1回だけだ。パトロール自体をするかどうかも決められるし、頻度もカスタマイズできる。Amazonのコンシューマーロボティクス担当副社長のKen Washington氏は、外出中、この機能で家に置いてきた猫を追跡していると語った。
Washington氏はこのように述べている。「通知を受け取るたびに笑顔になる」
ドアや窓を監視するために、Astroはまず、家中をユーザーについて回り、ユーザーが示すそれらの位置を記録することで学習する。また、この屋内ツアーでドアや窓が閉じた状態と開いた状態の見え方を学習し、その後、ドアが実際に開いていることを知らせる際に、それで正しいかどうかをユーザーに尋ねる。
米CNETの記者がレビューをするためAstroと一緒に過ごしたときに気づいたように、このロボットは利用目的を探しているところだ。Astroはホームセキュリティシステム、別の部屋から用件を聞きに来てくれる音声アシスタント、キッチンから書斎(ただし同じ階である限り)に飲み物を運んでくれる非常に高価な製品として機能する。
28日のイベントでは、活用方法が幾つか追加されただけではあるが、新たな自動化機能は、Astroが将来できるようになることのヒントになっている。自動化されたペット監視機能は、AmazonがAstro用に開発した新しいSDK(ソフトウェア開発キット)で構築されたものだ。3つの大学(ミシガン大学、メリーランド大学、ジョージア工科大学)のロボティクスカリキュラムは2022年内にこのSDKを使えるようになり、Astroの「ルーティーン」を新たに作成できるようになる。将来的にはさらに多くの開発者グループがこのSDKを利用できるようになる可能性がある。
これがAstroの可能性をさらに広げるだろう。現時点では、Astroの屋内パトロールは自動化されているが、コンロが消えているか確認するといった、より具体的な行動は、人間がコンパニオンアプリにアクセスして実行させる必要がある。将来的には、パトロールの一環としてAstroがコンロをチェックし、外出中に火が点いているかが分かる写真を通知するようになるかもしれない。
Ringに対応した技術により、Astroは家庭の外での役割も見いだしている。Ringの「Virtual Security Guard」サービスでは、このサービスに加入した家庭や中小企業に設置したカメラを、担当者がリアルタイムに監視している。中小企業向けパイロットプログラムの一環として、このサービスと連携したAstroが一部の企業を対象に提供される予定だ。
Astroが見たものに問題があれば、担当者が対応する。企業がこの連携サービスを使うには、「Ring Alarm」と「Ring Protect Pro」のサブスクリプションも必要だ。
Ringの広報担当者は、このサービスは固定カメラだけでは監視が難しい施設に適していると語った。また、「現場にいるAstroとプロの担当者による対応を1つの監視ソリューションに統合することで、人間の警備員を雇うことの手頃な価格の代替手段としても役立つ可能性がある」と広報担当者は述べた。
自動操縦機能と内蔵カメラを搭載したAstroは、自律的に移動できるよう設計されており、知っているユーザーと不審者を即座に識別できる。巡回するセキュリティロボットとしてAstroを試験的に運用することで、Amazonは一般発売前にこのロボットの主要な用途の1つを実証することになるかもしれない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス