2021年5月、SpaceXの「Crew Dragon Resilience」は大気圏に再突入する直前、軌道離脱噴射の前に重量を減らし、推進剤を節約するために、トランク(非与圧貨物の搭載部)を廃棄した。捨てられたResilienceの残骸はそのまま何カ月か地球を周回し、大気圏で燃え尽きる激動の最期へ向けて、ゆっくりと引き寄せられていった。
そして先週、トランクは最期を迎えた。オーストラリア南東部の住民にとって、残骸がついに大気圏を落下し、薄暗い空を横切って燃える様子は、魅惑的なショーとなった。完全に燃え尽きたのか、残骸の一部が地上に到達したのかは定かでない。
それでも、Resilienceが人命を脅かすことは、われわれの知る限りなかった。一方、2021年4月に中国が打ち上げた「長征5号B」ロケットの場合は、少々事情が異なる。研究者たちが落下地点の予測を急いだにもかかわらず、役目を終えたこのロケットの機体がどこへ落下するのか長い間、正確に特定することはできなかった。幸いにも、ロケットはモルディブ諸島沖に安全に落下した。
おそらく運が良かったのだろう。ロケットの残骸が、ある日われわれの頭上に落下するリスクはある。それは、ごくごく小さなリスクだ。研究者の推定では、可能性は10億分の1以下だという。しかし今後10年間で、そうした残骸の一片がどこかで誰かの頭上に落下するリスクはどうだろうか。現地時間7月11日付で「Nature Astronomy」に発表された研究によると、そのリスクはもう少し高いようだ。
カナダの研究チームが30年間の衛星データを分析し、制御されない状態でのロケットの再突入が人命にもたらすリスクを評価した。それによると、30年間に1500機以上のロケットが地球に戻ってきており、そのうち約70%が制御されない状態での再突入だったという。
チームの分析では今後10年間に1人以上の死傷者が出る可能性は約10%と、やや懸念される数字がはじき出された。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス