シャープ呉CEO、創業110周年迎え「真のグローバル企業へ」--京セラ稲盛氏から学ぶ不況対策

 シャープ 社長執行役員兼CEOの呉柏勲(Robert Wu)氏は9月15日、社内イントラネットを通じてCEOメッセージを配信した。シャープは、同日に創業110周年を迎えており、それにあわせて配信したものとなっている。

 メッセージは、「“真のグローバル企業”に向けて(To Become a True Global Company)」と題し、最近の活動や人材育成への取り組みを報告したほか、京セラ創業者である稲盛和夫氏の逝去に触れながら、稲盛氏の教えが、いまのシャープにとっても重要なものであることを示し、メッセージの多くをここに割いた。

 メッセージの冒頭で呉社長兼CEOは、「9月15日に、創業110周年を迎えることができた。社員や家族、長年シャープの歴史を築いてきたOB、取引先や株主、製品やサービスをご愛顧いただいているお客様など、すべてのステークホルダーに、改めて感謝を申し上げる。本当にありがとうございます」と切り出し、「現在、シャープは、ハードウェアやデバイスの製造企業から、ハードやソフト、サービスを組み合わせたソリューション提供企業へと転換を図っている。また、グローバル視点での経営改革を加速している。今後も、全社一丸となって、これらに取り組み、さらに50年、100年、そしてその先も、世界中のお客様から愛され続けるブランド、真のグローバル企業へと成長させていこう」と呼びかけた。

 なお、シャープでは、創業110周年にあわせて、グローバル各地域でさまざまなプロモーションやキャンペーンを展開する予定だ。

 今回のCEOメッセージでは、8月7日から2週間にわたり、ベトナムやフィリピン、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシアの6カ国を訪問。販売会社や生産工場の視察のほか、政府機関とのミーティング、取引先や販売パートナーとの商談、市場調査などを行ったことを報告した。

 呉社長兼CEOは、「2022年度は、ブランド事業において、海外全体で前年比15%以上の売上げ成長を目指す計画である。この成長を牽引する地域のひとつがASEANである。ASEAN各拠点では、前年比20%以上の売上げ成長を目標に掲げ、高付加価値モデルの販売拡大や、効果的なプロモーション活動を展開し、新規カテゴリー商材の創出にも積極的に挑戦する」と、ASEANでの事業拡大に意欲をみせた。

 また、「ASEANは、グローバル事業拡大を支える重要な生産拠点でもある。各生産工場では、日々のオペレーションの見直しやセカンドリソースの活用などによるコストダウンや、製品品質のさらなる向上、将来を見据えた工場の自動化、デジタル化などを推進し、製品競争力を高めている」とし、その上で、「これらの取り組みには、販売会社や生産工場、BUの緊密な連携が不可欠である。今後もOne SHARPで、ASEAN事業の拡大に取り組む」とした。また、「今回のASEAN出張で、ASEANの各拠点の社員がとても若く、活気に溢れていると改めて感じた。新たな経営方針のひとつに掲げた『人(HITO)を活かす経営』の通り、ASEAN各拠点においても若手人材の育成や登用により力を入れ、シャープの成長の大きな原動力となってくれることを期待している」とも述べた。

 2つ目のテーマとしてあげたのが、英語公用化を含んだ「人材育成の強化」である。呉社長兼CEOは、「国籍に関係なく、優秀な人材が、自らの能力をいかんなく発揮できる環境を構築していくことを狙いに、英語公用語化に向けた取り組みを進めており、8月には、日本のマネージャーにTOEICテストを受験してもらった。今後は成績に応じたトレーニングプランを用意し、社員の英語力向上を継続的にサポートしていく」と述べた。

 シャープの呉社長兼CEOは、6月の株主総会において、2023年から英語を社内公用語にすることを対外的に発表している。

 また、「入社して以降、業務の多忙さなどもあり、自らの能力開発がおろそかになっている社員も多い。英語だけに限らず、いま一度、自分自身のさらなるスキルアップに励むきっかけにしてほしい」と呼びかけた。

 一方で、7月から全社を対象にした「スタートアップコンテスト(新規事業提案会)」を開催しており、1次審査に309チーム、871人の応募があったことを報告。今後、各事業本部および関係会社内での1次審査、2次審査を経て、12月に全社の最終審査を行う予定だという。

 「応募した各チームは、事業化を目指し、自らの提案をより一層磨き上げてほしい。こうした取り組みを通じて、シャープのなかに眠る新たなアイデアや才能の発掘、機会の創出につなげたい」と意欲をみせた。

京セラ稲盛氏に学ぶ5つのこと

 呉社長兼CEOは、8月に逝去した京セラ創業者である稲盛和夫氏についても触れた。「心よりご冥福をお祈り申し上げます」としたあと、「『経営の神様』と称された稲盛氏は生前に、『企業は不況を境に体質を強化し、次の飛躍に備えることで発展していく』と述べ、不況における対策として、5つをあげていた」とし、その内容をひとつひとつ紹介した。

 1つ目は、「全員で営業する」である。営業や製造、開発、間接部門に至るまで、全員が一丸となって、日頃持っているアイデアをお客様へ提案し、受注へと結びつけ、納入まで行う。そのようなことを通じて、お客様から喜ばれるだけでなく、自分自身が会社全体を見られるようになる。

 2つ目が、「新製品開発に全力を尽くす」である。不況時には、お客様にも時間の余裕があり、何か新しいものを求めている。積極的にお客様をまわり、新製品のアイデアやヒント、今までの製品に対する要望やクレームなどをよく聞いて、それを持ち帰り、新製品開発や新市場創造に役立てる。

 3つ目は、「原価を徹底的に引き下げる」。できないと思ったところが始まりだと思い、必死に考え、従来のやり方を問い直し、思い切って変革する。旧態依然とした製造方法の見直しや、不要な組織の統合など、徹底的な合理化、原価低減を断行する。

 4つ目にあげたのが「高い生産性を維持する」である。製造現場で余ってきた人員を生産ラインから切り離し、工場の整備や勉強会など、景気が戻ったときに備えた仕事をしてもらう。そして製造現場では、常に一番忙しいときと同じように、必要最小限の人員で緊張感を持った仕事をしてもらう。そのようにして、それまで大変な苦労をして向上させてきた生産性を維持していくことが大切である。

 そして、取り組みの最後が「良好な人間関係を築く」である。苦しい局面を迎えた時にこそ、職場や企業の真の力が問われる。不況は、職場の人間関係を見直し、再構築する絶好の機会ととらえて、さらにすばらしい職場風土をつくるために努力する。

 呉社長兼CEOは、「シャープを取り巻く現在の事業環境は、新型コロナウイルスや地政学問題などを背景に、需要減少やインフレ、急激な為替変動などが生じており、極めて厳しい状況にある。こうしたピンチのときに、しっかりと体質改善に取り組むことが、市況が回復した時に他社に先駆け業績回復を実現することにつながる。事業責任者は、ぜひ、稲盛氏の経営哲学を参考に、日々の事業運営に当たってほしい。そして、全員の力で、目の前のピンチを、将来の持続的成長に向けたチャンスに変えていこう」と語った。
 
 メッセージの最後に、呉社長兼CEOは、「非常に厳しい事業環境が継続した2022年度上期も、残すところ半月となった。残り2週間、最後までしっかりと挽回に取り組み、業績の積み上げに努めてほしい。そして、下期以降、全社一丸となって反転攻勢を仕掛け、創業110周年の記念の年を、将来の持続的成長に向けて、大きな転換点となる1年にしていこう」と巻き返しに意欲をみせた。

 なお、シャープでは、創業110周年にあわせた式典や、特別な社内行事などは行っていない。

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