スウェーデンのボートメーカーであるX Shoreは先頃、同社の電気ボートとして2番目となる「X Shore 1」をラインアップに追加した。2021年にデビューした「Eelex 8000」に続く発表となり、同じ電動ボートとしてはEelex 8000より小型化し、シンプルになった。それでいて、同じレベルの高い性能、運転時の静音性、二酸化炭素排出量ゼロを誇る一方、定価は13万9000ドル(約1950万円)と、ずっと手の届きやすい価格設定になっている。いや、全モデルと比較すればということだ。
X Shore 1のプロペラは125KWの電動モーターで、63kWh時のバッテリーパックを使用する。最高時速は30ノット(車でいうなら、およそ時速56km)、巡航速度は約20ノットとなる。X Shoreによると、8ノットでもっとゆっくり航行すれば、航続距離は1回の充電で50海里(約92km)に達するという。
バッテリーは、45KWの充電ステーションにつなげば約50分、22KW充電スポットなら約90分で、20%から80%まで充電できる。マリーナによくある7.3KWの3相コンセントだと、フル充電には4.6時間ほどかかる。
この電動パワートレインを収納する全長21フィート(約6.5m)の船体のデザインは、ミニマルな北欧調で、「Open」と「Top」の2種類の構成がある。Openはルーフのないモデルで、Topには格納式天幕のカンチレバー式ルーフが付く。ルーフの有無のほか、「Utility」、「Performance」、「Premium」のグレードを選ぶことができる。
最近の電気自動車と同じように、電気ボートX Shore 1は、大画面のタッチスクリーン式インフォテインメントをはじめ、最新のネット接続技術を搭載する。「X Shore」アプリを介してスマートフォンやスマートウォッチにも接続できるので、モバイルデバイスをデジタルキーとして使うことができるほか、ジオフェンスや盗難防止機能、リアルタイムのパフォーマンスデータモニタリングなどの機能も利用できる。
X Shore 1の設計として、環境にやさしい素材で構成されている。船体の各部にチーク材ではなく、サステナビリティーに配慮したコルク材が使われているのも、その一例だ。ガラス繊維と炭素繊維を組み合わせた構造も、バッテリーの大きさを相殺する一助となっている。これでもまだ、小型船としては大ぶりで、重量はOpenモデルで約1.7t、Topモデルで約1.77tになる。また、船体をコンパクトに、バッテリーを小型化したことで、価格を抑えられるだけではなく、26フィート(約8m)あるEelex 8000と比べて、客先までの運搬が容易になっている。小型化したことで、例えば、運送用コンテナにも収められる。
X Shore 1は、スウェーデンのニュヒェーピングで製造され、予約は現地時間9月2日から始まっている。1回目の出荷分が顧客の停泊地に届けられるのは、2023年第2四半期になる見込みだ。オプション装備前の価格は13万9000ドルからと、依然として贅沢な買い物には違いないが、それでも、Eelex 8000が32万9000ドル(約4620万円)であることを考えると、だいぶ手頃になっている。X Shoreによると、「他社の高性能電気ボートと比べれば、3分の1の価格」なのだという。
同社によると、Eelex 8000、そして今回のX Shore 1が目指しているのは、高性能ボートに伴う騒音公害と二酸化炭素排出量を抑制することだという。どちらも、短期的および長期的に環境と海洋生物にマイナスの影響を与える要因だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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