総務省は2022年8月30日、「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース」の第10回会合を実施した。
議論の中心となっているプラチナバンドの再割当てを巡っては、楽天モバイルが強い口調で1年以内の再割当てを要求、現在求めている3社のプラチナバンドの1部割当てが実現しなければ、いずれか1社、2社からの割当てを求める方針を示すなど強硬な姿勢を打ち出していたが、そこには何が影響しているのだろうか。
携帯電話事業者に割り当てられている周波数免許は、従来一度割当てられたら同じ事業者が更新して使い続ける傾向にある。そこで電波有効利用の観点から、総務省は周波数の再割当てができる仕組みの議論を続けており、第208回通常国会でその再割当て制度を盛り込んだ電波法の一部改正が成立。2022年10月1日に施行される予定だ。
この法改正を巡って注目されているのが楽天モバイル、そしてプラチナバンドを巡る動向だ。楽天モバイルは携帯電話事業への参入が後発で、既にプラチナバンドの空きがほとんどない状況での参入となったことから、同社が保有している免許で最も周波数が低いのは1.7GHz帯。プラチナバンドを持たないために、入り組んだ場所や広域でのエリアカバーで不利な状況にあることから、主として1GHz以下の周波数で、遠くに飛びやすいとされるプラチナバンドの割当てを要求していたのだ。
そして今回の電波法改正により「開設指針制定の申出があったとき」、つまり他社が免許を持つ周波数帯に関してより有効活用できるという事業者から競願の申し出が合った場合、審議の末に周波数免許を“奪う”ことができるようになる。そうしたことから楽天モバイルはこれを機として、再割当てによってプラチナバンドの免許獲得に積極的に動くようになったのである。
実際楽天モバイルは、総務省が2020年より実施している電波有効利用に向けた有識者会議「デジタル変革時代の電波政策懇談会」や、その下に設けられた「移動通信システム等制度WG」でプラチナバンドの再割当てを求めてきた。具体的には、現在NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに割当てられているプラチナバンドの800〜900MHz帯(15MHz幅)のうち、上り・下り合わせて5MHz×2幅ずつを分割して楽天モバイルに割り当てて欲しいというのが同社の主張である。
この案に関しては2022年よりデジタル変革時代の電波政策懇談会の下に設けられた「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース」で現在議論が進められている。これまで同タスクフォースは非公開で実施されてきたのだが、2022年8月30日の第10回会合は公開形式で実施され、参加した携帯4社の意見を直接聞くことができた。
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