2022年テレビのトレンドは「色」--TVS REGZAが話す量子ドットとテレビと色の関係

 TVS REGZAは8月25日、液晶テレビ「レグザ」に採用する「広色域量子ドット」について説明会を開催した。「2022年のトレンドは色」と言い切る中、なぜ量子ドットを使うと色域が広がるのか、今までの液晶テレビとはどんな点が異なるのかなどについて話した。

広色域量子ドットを採用した「レグザ」
広色域量子ドットを採用した「レグザ」

 量子ドットは、青LEDを採用したミニLEDに量子ドットシートを組み合わせ、赤、青、緑、それぞれの色純度が高い広色域を実現するというもの。数年前から海外モデルを中心に採用が進んでいたが、日本では2022年に一気に採用数が増加。TVS REGZAでは「Z770L/Z875L/Z870L/Z670L」と4シリーズ8モデルを用意し「量子ドットモデルのラインアップ数としては、業界トップクラス」(TVS REGZA レグザブランド統括マネージャーの本村裕史氏)を誇る。

 レグザでは「きめ細やかさ」「自然な色」「コントラスト」を、高画質を決定づける3大要素に据えており、きめ細やかさは4K、コントラストは有機EL、ミニLEDの技術によって解決。残る自然な色をもたらす技術が広色域量子ドットと位置づける。

 これによって目指すのは、肉眼で見える同等の美しさをテレビ上でも実現すること。「これまでの液晶テレビも広色域のバックライトを採用するなど色への取り組みをしてきたが、量子ドットこそが大きな技術的ブレイクスルーとなっている」(本村氏)と期待を寄せる。

 その色鮮やかさは従来のテレビに比べ段違いだ。「3年前にはこんな色の濃いテレビはなかった。当時も色を調整し、リッチなカラーを再現しようと取り組んでいたが、肉眼で見るような色の濃さは表現できなかった。しかしナイターで映し出される人工芝の緑や選手のユニフォーム、夜に見る信号の色など、肉眼で見る色はとてもビビッドでリッチ。この色をテレビでチャッキアップできるようになった」(本村氏)と進化を話す。

 広色域量子ドット採用の液晶パネルは、直下型ブルーLEDバックライト、広色域量子ドット、4K倍速液晶パネルから構成される。青LEDを採用したLEDに量子ドットシートを組み合わせることで、赤、青、緑それぞれの色純度が高い広色域を実現できるというもの。

広色域量子ドット採用液晶パネル概念
広色域量子ドット採用液晶パネル概念

 「量子ドットは、ブルーの光を当てることで、違う色を発生させられる球場の結晶。面白いのは球の大きさを変えることで、発生する色を変えられること。球の大きさによってシアンや赤などの色を発生させられる。テレビで使用するのは赤、緑、青の3つ。そこから適切な量子ドットを選択して使用している」(TVS REGZA R&Dセンター先行技術開発担当主査の杉山徹氏)と構造を説明する。

量子ドットを模したシミュレーション。ライトを当てると白色が赤と緑色に変わる
量子ドットを模したシミュレーション。ライトを当てると白色が赤と緑色に変わる
色が赤と緑へ変化した状態
色が赤と緑へ変化した状態

 球は半導体微粒子を数100個から数100個集めたもので、結晶のサイズの違いで発光する波長が変化するとのこと。同じサイズの量子ドットを使用することで、波長幅が狭くなり、より色純度の高い色が発生する。

量子ドットのサイズに応じてさまざまな色が発生する
量子ドットのサイズに応じてさまざまな色が発生する

 これにより、高い色純度と広い色域を実現。白色LEDを採用した「75M550L」に比べ、広色域量子ドットを採用した75Z770Lは、色再現範囲が広くなる。

 「たくさんの花が並んだ画面など、以前は似たような色の花の色が飽和して1色になってしまっていたが、今は豊富な色を描き分けられる。これは、パネルの能力アップに合わせ、エンジンである『レグザエンジンZRII』も頑張っているからできること。量子ドットの色再現性をきちんと表現するには、エンジンでいかにマネジメントするかが大事」(TVS REGZA R&Dセンター半導体開発ラボグループ長の山内日美生氏)とエンジンの重要性も説く。

量子ドットモデル(右)と非搭載モデル(左)の画質の違い。右の方が色鮮やかであることがわかる
量子ドットモデル(右)と非搭載モデル(左)の画質の違い。右の方が色鮮やかであることがわかる

 「ナチュラルな肌の表現などは色を拡大しても美しくはない。ナチュラルな色味はカラーマネジメントコントロールで人肌をキープして、表現することが肝。自然さと鮮やかさと美しさをエンジン側のカラーコントロールで処理している」(山内氏)とする。

 「量子ドットについては数年前から評価を重ね、試行錯誤を繰り返してきた。以前は低コストで色鮮やかになるのではと思うこともあったが、意外に色が伸びず、その中でバックライトのパワーが必要だったことに気がついた。2022年のテレビは色が大きなトレンド。自然な色に近い、リッチな色を再現できるテレビが求められている」(本村氏)とした。

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