定期的に話題になるテーマに、「おじさん構文」「おばさん構文」というものがある。どのようなSNSメッセージがおじさん、おばさんっぽく見えるのか。背景と理由、対処法について解説したい。
10〜24歳男女を対象としたバイドゥの2022年8月「Simejiランキング」の「Z世代が選ぶ!!『“おじさん”を感じる顔文字TOP10』」によると、以下の結果となった。
Z世代からは、「パパが使っている」「おじさんぽい」「見たことない」などの意見が集まった。一方で、オトナ世代からは、「やばい、いつも使ってる」「え、ダメなの?」「実際におじさんだから仕方ない」などのコメントが寄せられている。
続いて、同Simejiランキングの「気になるおじさん構文の特徴TOP10」を見ていこう。それによると、以下が「おじさん構文」の特徴となる。
Z世代からは、「がんばって若ぶってる」「本人は優しく接しているつもり」「慣れてなさそう」などの意見が集まった。おじさんおばさんたちからは、「いつもやっちゃってる」「周りでもやってる人が多い」「気をつけようと思った」などのコメントがあった。
おじさんおばさん世代の文章コミュニケーションは、主にガラケーメールから始まっている。メールであれば長い文章が当たり前だし、文章だけだと感情が伝わりづらいので絵文字顔文字を使っていた。つまり、ランキングで指摘されている絵文字や顔文字を多用したメッセージはガラケー文化の名残であり、中高年が若い頃に身に付けた文章コミュニケーション術そのままなのだ。
しかし今はLINEでチャットのように素早くやり取りするので、短文で送るのが当たり前だ。わざわざ句読点を打ったり、絵文字などをつけたりすることもあまりない。たとえ長文でも、句読点はほとんどつけない。
SNSネイティブからすれば、SNSなのに長い文章は「画面が黒い」と感じ、句読点が多用されていると違和感を感じる。ガラケーネイティブ世代とSNSネイティブ世代がやり取りすることで、SNSネイティブ世代からはガラケー文化がおじさん、おばさんぽいと感じることにつながるというわけだ。
ガラケーで絵文字を使わない文章は「黒メール」と言われ、「怒っているみたい」「怖い」と嫌がられていた。そこで、オトナ世代は絵文字や顔文字を使うのが当たり前と考えている。現在でも、「句読点をつけて送ってくると怒っているみたい」「冷たく見える」とZ世代には評判が良くない。そこでZ世代は、感情を表現するためにスタンプを使うという違いがあるのだ。
若ぶった内容や、若者に媚びた内容だと、若者から見るとマイナスに働くことが多いようだ。若い頃に使っていた言葉を使ったり、今の若者言葉を無理に取り入れたりするのも、がんばっている感が出てしまうというわけだ。また、相手との距離感を間違えていると嫌われる要因となる。親しくないのになれなれしくしたり、プライベートなことを送ったりするのも引かれてしまう。
もちろん、LINEなどならプッシュ通知で連絡がいくため、遅い時間はマナー違反となる。相手のプライベートな時間帯であることをわきまえて、一般的なビジネスアワーの時間帯にやり取りするようにしよう。多くの場合、相手と親しくなりたい思いが空回りしてこのような結果になっているようだ。LINEだけで何とかしようとせず、対面やビデオ通話などのコミュニケーションを適宜取り入れるといいだろう。
SNSでのやり取りがうまくいかないのであれば、慣れている業務で利用しているメールを利用するのもいい。SNSでやり取りするのでも、仕事上の関係ならば業務メールのつもりで、少しだけやわらかい丁寧な文章で送るといいかもしれない。年上ならではの気遣いやアドバイスなどを入れて送るなどすると、関係性もうまくいくのではないだろうか。
高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。
公式サイト:https://www.akiakatsuki.com/
Twitter:@akiakatsuki
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」