大手銀行からフィンテックのスタートアップまで、金融サービス業界は人工知能(AI)の力を活用して、Z世代の顧客を獲得し支援している。記憶が定かでない人のために説明しておくと、Z世代とは、1997年から2012年の間に生まれた人を指す。そう、今やトゥイーン(8歳~12歳の子供)も、フィンテック(金融テクノロジー)を利用している時代だ。
AIを活用する金融アプリは、金融業界の顧客サービス改善やコスト最適化、価値ある新製品の提供において、重要な役割を果たしている。AIは、Z世代が金融機関とコミュニケーションを取る主要な手段で、チャットボットから不正検出、タスクの自動化まで、あらゆる機能で活用されている。
Infosysの北米金融サービス責任者であるDennis Gada氏は米ZDNetに対して、「Z世代は完全にデジタルネイティブである」と語った。「彼らにとって、銀行や金融サービスはライフスタイルの延長線上にあるものだ。銀行がデジタル化すればするほど、彼らが抱く信頼感は大きくなる」
Z世代は「Alexa」や「Siri」を使いながら育った。会話型AIを利用することは、彼らの習慣になっている。金融機関は現在、このテクノロジーを実装して、顧客がいつでも機能を利用できるようにしている。ただし、会話型AIは基本的なチャットボットよりも高度な機能を備えており、音声パターンを認識したり、ツールの特定や推奨をしたり、バックエンドシステムにアクセスして答えを見つけたりすることもできる。
Capital Oneは2017年、米国の銀行で初となるAI対応パーソナルファイナンスツールを発表した。このツールは、自然言語のSMSテキストベースのアシスタントで、不正監視やサブスクリプションサービスの値上げアラートなど、12種類以上の機能を備えていた。
現在、Bank of Americaには、パーソナライズされたガイダンスを提供できるバーチャル金融アシスタント「Erica」がある。顧客は、口座残高や取引の詳細といった一般的な情報を取得できるほか、AIツールを通して、より複雑な要望に対応してもらうことも可能だ。Ericaが答えを提供してくれるか、あるいは、適切なリソースを案内してくれる。
予測分析も、Z世代が金融サービス業界に期待するようになった機能だ。「Truebill」のようなアプリは、複数の口座のデータを分析し、支出パターンの変化によって口座残高を上回る支払いが発生しそうな場合にアラートを発してくれる。「Digit」は、AIテクノロジーを利用して、顧客の消費習慣を評価し、支出を予測して、分析結果を基に特定の金額を自動的に貯金する。「Personal Capital」は、すべての口座を監視するダッシュボードを提供し、AIテクノロジーを利用して、便利な予算管理ツールやポートフォリオ管理ツールを無料で提供している。
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