このレビューを読んでいる人は、スマートフォン業界に投資をしているか、それとも「Nothing」などという名前の企業がなぜ存在するのか不思議に思っているか、またはその両方だろう。
「Nothing Phone (1)」は、その名前が示すように、英国を拠点とするスタートアップ企業Nothingが手がけた、同社初のスマートフォンだ。大胆なマーケティング戦略に「テクノロジーを再び楽しくする」という誓い(テクノロジーが楽しくないことなど、これまでにあっただろうか)を掲げ、同社は約1年前の創設以来、カルト的人気を博しており、シリーズBの資金調達で7000万ドル以上の獲得に成功している。同社がNothing(何もない)をSomething(何か)に変えたことは明らかだ。
筆者はこれまで米ZDNetで数多くのスマートフォンをレビューし、数え切れないほどの機種を購入してきたが、Nothing Phone (1)には、しばらく感じていなかったワクワク感がある。本記事では、同機種を3週間使用した筆者の総合的な体験をお伝えする。
Nothing Phone (1)の価格は399ポンドから(日本版は6万3800円から)となっている。Appleの「iPhone SE」とサムスンの「Galaxy A」シリーズが大きなシェアを誇る市場においては、Nothing Phone (1)は非常に魅力的な選択肢になるだろう。
Nothing Phone (1)について紹介すべきことはたくさんあるが、消費者(マニアであろうとなかろうと)が最も関心のあるデザインから詳しく見ていこう。
Nothing Phone (1)は見た目も使用感も機能も、「iPhone 13 Pro Max」を軽量化して派手にしたスマートフォン、という印象だ。それは間違いない。Nothing Phone (1)とは、iPhoneをかっこいい光るケースに入れただけのものなのか、と家族や友人、同僚から何度尋ねられたかわからないほどだ。角の丸い、均整のとれたベゼル(ディスプレイの枠)からボタンの配置まで、驚くほど似ているが、筆者としてはそのことに不満はない。
Nothingのインダストリアルデザインチームは、アルミニウムとガラスでNothing Phone (1)に高級感を醸し出し、実際よりも高価な感じを与えることに成功している。同社製品のデザインを共同開発しているTeenage Engineeringは、Nothing Phone (1)の本体に風変わりで遊び心のある趣向を凝らしている。例えば、「Nothing」のロゴはあまり目立たないし、背面はさまざまな機構やコイルなどが透けて見えるデザインとなっている。すぐにケースを装着したくなるようなデバイスではない。
デザインに関する唯一の注意点は、防水防塵の等級がIP53とあまり高くないところだ。防沫機能のみで、それ以上の性能はない。つまり、水没させて故障してしまっても、保険は適用されないので、お風呂やプールの近くでは使用しない方がいい。
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