Microsoftが存在感を発揮するのに苦労している分野でライバルを助けようとしていることについて、奇妙に感じる人もいるかもしれない。しかし、スマートフォンに関して言えば、これは実際にはそれほど珍しいことではない。Googleは独自の「Android」スマートフォンを開発しようとすることで、最終的にサムスンやMotorolaなどのAndroidスマートフォンメーカーを排除するのではないか、と長年懸念されてきた。
しかし、実際には、Googleは競合他社と共存するだけでなく、それらの企業に自社デバイスを最適化する方法を示すことで、共に栄えることにも成功した。そうした方法を開発できるのは、Androidプラットフォームの開発元であるGoogleだけだ。
これと同じように、Microsoftも最終的に、サムスンがGalaxy Z Fold4で提示したマルチタスクアプローチの恩恵を受けることができるのだろうか。その可能性はある。サムスン自体も、Googleの初期の「Nexus」スマートフォンとそれらのデザインの恩恵を受けていることは間違いない。もちろん、Microsoftは、Galaxy Z Fold4のシングルスクリーン向けに開発したものを、「Surface Duo 3」の分割ディスプレイ向けに修正する必要がおそらくあるだろう。これはそれほど難しい作業ではないように思えるが、スマートフォン分野に関して言えば、Microsoftはこれまで最後の重要なところでミスを犯してきた。
現在のところ、外出先で仕事をするために折りたたみデバイスを求めているマルチタスク愛好家(Microsoftの創設者であるBill Gates氏のような人々)は、Microsoftが成果を上げるまで待つのではなく、サムスンの現行デバイスを購入したいと思うかもしれない。しかし、スマートフォンの分野でMicrosoftよりもはるかに豊富な経験を持つ企業らが、初期の折りたたみデバイス市場を支配するサムスンと積極的に競争していない、または競争できていないように思える状況で、Microsoftはサムスンと競争できるのだろうか。
Surface Duoシリーズは今でもユニークな存在だが、それは良い意味ではない。その珍しい形状や価格の高さ(実はSurface Duo 2で100ドル値上げしている)、斬新な画面レイアウトといった要素はどれも消費者の支持を得られていないようだ。さらに悪いことに、Microsoftはプロセッサーの速度やカメラの質、アプリの統合などの要素に関して、常に競合他社に後れをとっているように思える。
Microsoftがサムスンのために行ったユーザーインターフェース開発の成果を「逆輸入」して、Surface Duo 3の改善に生かすことができれば、真に魅力的な生産性デバイスを市場に投入できるチャンスがある。もちろん、常につきまとう「ビジネス向け」という雰囲気を打破する必要があることも確かだ。そのせいで、消費者は同社の優れた製品も敬遠するようになっているからだ。しかし、Microsoftがそれをやり遂げることができれば、Bill Gates氏も、自ら創設した企業のスマートフォンを数年後には実際に使用しているかもしれない。だが今の状況では、Gates氏はすでにGalaxy Z Fold4を先行予約しているとみて間違いないだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)